エイチ・アイ・エス協立証券(株)に対する
検査結果に基づく勧告について


平成12年10月6日
証券取引等監視委員会

1 .勧告の内容
 関東財務局長がエイチ・アイ・エス協立証券株式会社(東京都中央区日本橋、資本金18億円、役職員200名)を検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融再生委員会及び金融庁長官に対して、金融再生委員会設置法第31条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


2 .事実関係
 エイチ・アイ・エス協立証券(株)は、平成12年2月22日、前日限りで有効期限が切れた株式の委託注文が、株式取引に係るシステム障害により当日再発注され、その一部が約定成立したため、当該取引を自己勘定に付け替えるという処理を行った。
 しかし、ミスにより、当該付け替えた取引の中には、前日インターネット取引により多数の顧客から受託した株式の委託注文で、当日市場において正規に約定成立した取引が含まれていた。
 エイチ・アイ・エス協立証券(株)は、翌23日以降、当該付替えが行われたインターネット取引顧客の一部の顧客から苦情が寄せられ、苦情を寄せた顧客の取引については市場に再発注し、その約定価格と当初の約定価格との差額を支払った。しかしながらその際、当該苦情の発生原因を十分究明していなかったことから、苦情を寄せなかったインターネット取引顧客の取引については、調査を行うなど必要な措置をとらずに放置していた。
 このためエイチ・アイ・エス協立証券(株)は、苦情を寄せなかった多数の顧客について、委託注文が市場で正規に成立したにもかかわらず、取引報告書を交付しなかった。
 また、エイチ・アイ・エス協立証券(株)は、インターネット取引画面に、取引顧客の約定結果や預り残高等の情報が常時表示しているが、これらの顧客については、翌23日以降の取引画面に取引結果が反映しておらず、事実と異なる内容の情報を表示した。

(1) 取引報告書の不交付
 エイチ・アイ・エス協立証券(株)は、平成12年2月21日にインターネット取引により多数の顧客から受託した株式の委託注文について、翌22日、市場において取引が成立したにもかかわらず、取引報告書を交付しなかった。

 上記行為は、証券取引法第205条の2第4号に規定する「取引報告書を交付しない行為」に該当すると認められる。

(2) 有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をする行為
 エイチ・アイ・エス協立証券(株)は、平成12年2月23日以降、インターネット取引を行っている多数の顧客に対し、当該顧客の預り残高等について、事実と異なる内容の情報をインターネット取引画面上に表示した。

 上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号に基づく証券会社の行為規制等に関する総理府令(平成12年6月30日以前の行為は、証券会社の行為規制等に関する命令)第4条第1号に規定する「有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をする行為」に該当すると認められる。
 昨年来、インターネット取引を行う証券会社が急増しているが、インターネット取引はこれまでなかった新たな取引手段であり、非対面性、非書面性等のインターネット取引の特性もあることから、これらの証券会社は、このような特性に十分配慮した内部管理体制を構築し、機能させる必要がある。
 今回の問題は、インターネット取引の非対面性という特性に十分配慮していないことに起因しているものであり、当社は、上記のような観点から内部管理体制が十分機能していないことに問題があると認められる。

 

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