平成13年1月30日 |
証券取引等監視委員会 |
1.勧告の内容
(1) 有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をし又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為 ○ 株式会社エヌシーエス証券は、平成12年5月、代表取締役社長等の関与により、有価証券取引としてCPの証書を媒介するに際し、「約束手形(証券取引法上の有価証券)」等と記載した説明書を作成し顧客に交付したが、その後当該CPの証書が証券取引法上の有価証券に該当しない事実を認識したにもかかわらず、当該事実を顧客に告げないまま、虚偽の表示を行った。 ○ 株式会社エヌシーエス証券は、平成12年7月、代表取締役社長等の関与により、外国法人が発行する譲渡性預金証書(以下「CD」という。)の取引の媒介に際し、オファーシートを作成し顧客に交付したが、当該オファーシートに記載したCDの発行体と認識していた法人が既に他社に吸収合併され、その名称が変更されていた事実を把握したにもかかわらず、その後の複数回にわたる同CDの取引においても従前同様のオファーシートを交付し続けるなど、当該重要な事項を顧客に告げないまま、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示を行った。 (2) 内部管理機能の形骸化 上記のような法令違反行為が行われた背景として、株式会社エヌシーエス証券の内部管理に関連し、以下のような問題が認められた。 ○ 代表取締役社長は、法令遵守の励行や内部管理体制の機能強化に率先して取り組むべき立場にあるにもかかわらず、他の役職員に対して適切な指示を与えず、自ら法令違反行為の実行者として、有価証券の取扱いに係る社内決定及び内部管理統括責任者等による取引中止の進言を無視して取引を強行するなど、法令遵守意識が著しく欠如している。 ○ また、内部管理統括責任者等についても、代表取締役社長に進言はしたものの、最終的には代表取締役社長の意向に従った取引を行うなど内部管理による牽制機能が働いていない。 このように、これらの法令違反行為に関与した代表取締役社長等には法令諸規則の遵守意識が著しく欠如していると認められるとともに、株式会社エヌシーエス証券の内部管理機能は形骸化しており、証券会社としての業務運営上、重大な不備があると認められる。 |