東京三菱証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


平成13年5月22日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、東京三菱証券株式会社(東京都千代田区丸の内、資本金850億円、役職員約490名)を検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


2.事実関係

(1) 実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引
 東京三菱証券株式会社は、エクイティ部課長2名の関与により、特定の上場銘柄の株式を対象とする他社株券償還特約付社債券(以下「EB」という。)に関し、当該銘柄の株価の水準によりボーナス・クーポン(追加利息)の支払額が判定される日である平成13年1月17日の14時59分から大引けにかけて、当社が負っている当該EBのボーナス・クーポンに係る一定の金銭の支払義務が回避されることを認識した上で、当該銘柄の株式について、当該銘柄の株価の終値が一定のボーナス・クーポンの支払判定株価未満となることを意図して、成行又は低い指値の一連の売付注文を発注することにより、株価を下落させた。
 なお、この結果、当該銘柄の株価は、当該ボーナス・クーポンの支払判定株価を下回ることとなり、ボーナス・クーポン総額約365百万円が支払われないこととなった。

 上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第4条第3号に規定する「実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引をする行為」に該当すると認められる。


(2) 特別の利益を提供することを約して勧誘する行為
 東京三菱証券株式会社は、特定の顧客から買い付けた債券を当該顧客の実質親会社に売却する取引を、平成10年6月に約定し、受渡しを完了させた。
 その後、当社は、当該有価証券の取引に関し、これらの顧客から、当該取引を取引以前の状況に戻す取引の要請を受けた。
 当社は、顧客の要請を踏まえ、同年7月、顧客に対し、当該取引の取消しという形での新たな取引を申し入れて実行した。当該取引は、取消しという名目で、実質当社が、当初取引における買付顧客から債券を買い戻し、当初取引における売付顧客に対し売り戻すという、有価証券の取引と認められる。
 当該新たな取引に際し、当社は、買戻価格を当初の売却価格と同値で行い、また、売戻価格を当初の買付価格と同値で行うことにより、当初取引で当社が得ていた売買益相当額を顧客に対し提供するとともに、当該新たな取引に係る手数料相当額を徴収しないことを約束して、有価証券の売買その他の取引の勧誘を行ったものである。

 上記行為は、証券取引法(平成10年法律第107号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第50条第1項第6号に基づく証券会社の健全性の準則等に関する省令(平成10年総理府令・大蔵省令第33号(平成10年12月1日施行)施行前のもの)第2条第2号に規定する「有価証券の売買その他の取引につき、顧客に対して特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」に該当すると認められる。

資料等
(ファイル容量は65kbあります。)

 

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