国際証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


平成13年6月12日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容
 近畿財務局長が国際証券株式会社(東京都中央区、資本金652億円、役職員約3,800名)の大阪支店を、九州財務局長が同証券の大分支店をそれぞれ検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


2.事実関係

(1) 国際証券(株)大阪支店

マル1 取引一任勘定取引の契約を締結する行為

イ.大阪支店資産運用部長は、平成12年10月12日から同13年1月18日にかけて、顧客との間で、株式の売買の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、価格、又は数及び価格について定めることができることを内容とする契約を多数回にわたり締結した上で、平成12年10月13日から同13年1月19日までの間、取引を受託、執行した。

ロ.大阪支店資産運用部資産運用一課長は、平成9年7月16日から同12年12月13日にかけて、顧客との間で、株式の売買の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、価格について定めることができることを内容とする契約を多数回にわたり締結した上で、平成9年7月17日から同12年12月18日までの間、取引を受託、執行した。

 当該使用人が行った上記の契約の締結行為は、証券取引法第42条第1項第5号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第50条第1項第3号)に規定する「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」に該当すると認められる。
 また、国際証券(株)は、過去行われた財務局長の検査において、複数回取引一任勘定取引の契約の締結行為が認められ、その都度指摘を受けている。そのような状況下で行われた上記行為は、同証券の管理監督上の重大な過失により実行されたものと認められることから、証券取引法第42条第1項第5号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第50条第1項第3号)に規定する「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」に該当する会社の行為と認められる。

マル2 特別の利益を提供することを約して勧誘する行為

 国際証券(株)は、大阪支店において、平成10年11月、法人顧客から同証券として通常では対応不可能な多額の寄付要請を受けた。
 同証券は、当該要請を受けたことから、大阪支店長(当時)、同支店資産運用部長(当時)及び同部資産運用一課長の関与により、当該法人顧客に対しこれを断るに際し、値上がりの蓋然性が高く支店への割当数量が数単位しかない2銘柄の新規公開株式を恣意的かつ特別に配分し、その売買益をもって寄付の代わりとすることとし、同年12月、当該法人顧客の資産運用担当者に対し同趣旨を申し入れることにより、当該新規公開株式の買付けを勧誘した。

 上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)第4条第2号に規定する「有価証券の売買その他の取引につき、顧客に対して特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」に該当すると認められる。

マル3 役職員による検査を忌避する行為

 国際証券(株)は、大阪支店における今般の近畿財務局長の検査において、

イ.上記マル1の取引一任勘定取引の契約を締結する行為に関し、同支店総務部長、同支店資産運用部長及び同部資産運用一課長の関与により、顧客に対し、検査官に取引一任勘定取引の契約の締結の事実がない旨の虚偽の回答を行うよう依頼した。
 さらに、同支店総務部長及び同支店資産運用部長の関与により、特定顧客の営業担当者に関する検査官の質問に対し、真実は、当該資産運用部長自身が顧客の担当者であるにもかかわらず、他の者が当該顧客の担当者であるとの事実を意図的に隠蔽した回答を行った。

ロ.上記マル2の特別の利益を提供することを約して勧誘する行為に関し、同証券執行役員・管理統括部長及び同支店資産運用部資産運用一課長の関与により、新規公開株式の配分理由に係る検査官の質問に対し、事実を意図的に隠蔽した回答を行った。

 上記行為は、証券取引法第198条の5第8号に規定する「検査を忌避する行為」に該当すると認められる。


(2) 国際証券(株)大分支店

○ 有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をする行為
 国際証券(株)は、大分支店長(当時)及び同支店投資相談課営業員の関与により、平成12年1月から同年8月にかけて、新規顧客を開拓するための債券の投資勧誘に当たり、元本が保証されていないにもかかわらず、元本保証であるとの事実と異なる内容を記載したはがきを作成し、これを新規開拓先である多数の個人投資家に交付することにより、虚偽の表示を行った。

 上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令(平成12年6月30日以前の行為については証券会社の行為規制等に関する命令)第4条第1項第1号に規定する「有価証券の売買その他の取引に関し、虚偽の表示をする行為」に該当すると認められる。

 

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