モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド東京支店に対する
検査結果に基づく勧告について


平成14年1月30日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容

 証券取引等監視委員会は、モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド東京支店(東京都渋谷区恵比寿、東証・大証会員、役職員約1,200名、以下「モルガン・スタンレー証券」という)を検査した結果、下記のとおり当該証券会社及び当該証券会社の使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を行うよう勧告した。


2.事実関係

(1) 実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引

 モルガン・スタンレー証券は、平成13年12月4日、株式本部日本株トレーディング部トレーダー及びデリバティブトレーディング部トレーダーの関与により、特定の上場銘柄の株式について、空売りを明示した売付けを行うに際し、当該空売りを行うことが可能な価格まで当該銘柄の株価を引き下げる目的をもって、直前に取得した現物株式に係る成行又は低い指値の売付注文及び空売りを明示した売付注文の一連の売買取引を行い、株価を下落させた。

 上記行為は、外国証券業者に関する法律第14条第1項において準用する証券取引法第42条第1項第9号に基づく外国証券業者に関する内閣府令第24条第21項において準用する証券会社の行為規制等に関する内閣府令第4条第3号に規定する「実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引をする行為」に該当すると認められる。


(2) 政令で定めるところに違反した空売り

 モルガン・スタンレー証券は、平成13年12月4日、株式本部日本株トレーディング部トレーダーの関与により、
マル1 取引所有価証券市場において自己の計算により多数回行った株式の空売りについて、証券取引所に対し、空売りであることを明らかにしなかった。
  上記行為は、証券取引法施行令第26条の3第1項に違反すると認められる。

マル2 取引所有価証券市場において、証券取引所が直近に公表した価格に満たない価格での自己の計算による空売りを多数回行った。
  上記行為は、同施行令第26条の4第1項に違反すると認められる。

 上記マル1及びマル2の行為は、証券取引法第162条第1項第1号に規定する「政令で定めるところに違反して、有価証券を有しないでその売付けをする行為」に該当すると認められる。

 

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