さくらフレンド証券(株)に対する検査結果に基づく勧告について


平成14年4月23日
証券取引等監視委員会

1.勧告の内容

 証券取引等監視委員会は、さくらフレンド証券株式会社(東京都中央区日本橋、資本金261億円、役職員約1,200名)を検査した結果、下記のとおり当該証券会社及び当該証券会社の使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


2.事実関係

(1) 法人関係情報に係る不公正取引の防止上不十分な管理の状況

 さくらフレンド証券株式会社は、不公正取引の未然防止を図る観点から、法人関係情報を取得した場合には、社内規程に基づき厳格に法人関係情報を管理することとし、上場会社等が行う株式の買入れ消却のための自社株式買付けに係る法人関係情報については、その管理のための組織改編も行っているが、当該組織改編が形骸化し法人関係情報が厳格に管理されていない状況にあるほか、当該法人関係情報に関する社内報告が徹底されておらず、また、自己売買等に対するチェックが全く行われていない。
 そのため、当社は、上場会社等が行う株式の買入れ消却のための自社株式買付けについて、当該会社が行う自社株式の買付注文を受託執行することにより、当該会社が行う未公表の重要事実である個別具体的な買付けの決定内容の法人関係情報を知ることとなる際に、当社の自己売買業務の担当者であるトレーディング部トレーダーが当該買付注文を受託する場合があり、更に、平成12年7月12日には、同トレーダーが当該法人関係情報を知りながら、当社の計算における当該銘柄の買付けを執行している事例も認められるなど、法人関係情報に係る不公正な取引の防止上十分でないと認められる状況により業務が営まれている。

 このような法人関係情報の管理の状況は、証券取引法第43条第2号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第4号に規定する「証券会社が取得した法人関係情報の管理の状況が法人関係情報に係る不公正な取引の防止上十分でないと認められる状況」に該当すると認められる。

(2) 取引一任勘定取引の契約の締結

マル1 静岡支店営業課主任は、平成13年8月16日から同年12月11日にかけて、
複数の顧客との間で、株式の売買の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、価格について定めることができることを内容とする契約を多数回にわたり締結した上で、同期間、取引を受託、執行した。

マル2 沼津プラザ営業員は、平成13年4月25日から同年12月28日にかけて、
複数の顧客との間で、株式の売買の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、価格について定めることができることを内容とする契約を多数回にわたり締結した上で、同期間、取引を受託、執行した。

 当該使用人が行った、上記の契約の締結行為は、証券取引法第42条第1項第5号に規定する「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」に該当すると認められる。

(3) 投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買

 池袋支店歩合外務員は、平成9年9月19日から同13年11月22日までの間、顧客の口座を使用して、自己の計算に基づく株式の売買を多数回にわたり行った。
 当該歩合外務員が行ったこれらの取引は、専ら投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買と認められる。

 当該使用人が行った上記行為は、証券取引法第42条第1項第9号(平成10年11月30日以前の行為については、同年法律第107号による改正前の第50条第1項第6号)に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第4条第5号(平成12年6月30日以前の行為については、証券会社の行為規制等に関する命令第4条第5号、平成10年11月30日以前の行為については、同年総理府令・大蔵省令第33号による改正前の証券会社の健全性の準則等に関する省令第2条第5号)に規定する「投機的利益の追求を目的として有価証券の売買をする行為」に該当すると認められる。

 

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