エー・シー・イー・インターナショナル株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成16年6月30日
証券取引等監視委員会



.勧告の内容

 関東財務局長がエー・シー・イー・インターナショナル株式会社(東京都港区、資本金約1億円、役職員約300名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融先物取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。





.事実関係

 


(1)


 利益保証等を約した勧誘、取引一任勘定取引の契約の締結、及び損失の補てん又は利益に追加するため財産上の利益を提供する行為

 


マル1


 エー・シー・イー・インターナショナル株式会社取締役会長は、その業務に関し、平成13年3月から同15年9月にかけて、多数の顧客に対し、海外市場における通貨先物オプション取引につき、イ.損失の全部若しくは一部を当社が負担することを約し、又は利益を保証して勧誘し、ロ.取引等の種類、対象通貨、売買の別、対価の額等、金融先物取引法施行規則第24条各号に定める事項の全部について、顧客の同意を得ないで定めることができることを内容とする契約をそれぞれ締結した上で、平成13年4月2日から同15年9月18日までの間、取引を受託、執行した。


マル2


 エー・シー・イー・インターナショナル株式会社取締役会長は、その業務に関し、平成13年6月から同15年12月までの間、多数の顧客に対し、海外市場における通貨先物オプション取引について生じた顧客の損失の全部又は一部を補てんし、又は顧客の利益に追加するため、顧客に損失が生じた取引を自己に付け替え、あるいは、自己に利益が生じた取引を顧客に付け替える方法により、当該顧客に財産上の利益を提供した。



 当該金融先物取引業者が行った上記マル1イの行為は、金融先物取引法第74条第2号に規定する「顧客に対し、損失の全部若しくは一部を負担することを約し、又は利益を保証して、受託契約の締結を勧誘する行為」に、及びマル1ロの行為は、同条第3号に規定する「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」に、マル2の行為は、金融先物取引法第74条第7号に基づく金融先物取引法施行規則第25条第3号に規定する「金融先物取引等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補てんし、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客に対し財産上の利益を提供する行為」にそれぞれ該当すると認められる。


(2)


 金融先物取引業に関し、著しく不当と認められる行為

 エー・シー・イー・インターナショナル株式会社は、海外市場における通貨先物オプション取引(以下「オプション取引」という。)の顧客への勧誘を積極的に行っていたが、一方で、営業部門から独立した顧客の日々の取引状況のチェックなどの顧客管理体制の整備を行っておらず、また、実施していた顧客面談制度等が形骸化しており、さらに取締役社長等が、営業員に対し、営業に係る社内ルール等の条件を緩和するなどの指示や短期間での買増勧誘等の指示を行っていた。
 そのような状況の中で、オプション取引について、多数の営業員が、多数の顧客に対し、口座開設直後から、顧客に十分な投資判断能力が培われないうちに、短期間に一度も損益の結果を出すことがないまま数十枚もの建玉を勧めるなど、顧客の資産、能力等に照らして過大な投機的取引を勧誘し、その結果、これらの顧客に多額の損失を発生させており、当社は、海外金融先物取引の受託にあたり、「金融監督等にあたっての留意事項について(事務ガイドライン)」9-2-4(2)に規定する「過大な投機的取引の防止」に努めていない。

 当該金融先物取引業者が行った上記行為は、金融先物取引業協会規則「金融先物取引業務に従事する従業員等の服務に関する規則」第4条第6号に規定する「顧客カード等により知り得た投資資金の額その他の事項に照らし、過当な数量の金融先物取引等の勧誘を行う行為」に該当し、組織的関与の下、内部管理体制が欠如している中で行った当該行為は、金融先物取引業に関し、著しく不当な行為に該当する行為であって、取引の公正を害し、委託者の保護に欠けるものと認められる。

 

 

 

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