(MASプレスリリースの日本語仮訳)

MASが民事制裁金(Civil Penalty)を執行



シンガポール、2004年10月21日
シンガポール通貨監督庁(MAS)は証券先物法(SFA)第219条のインサイダー取引条項違反によりシンガポール政府投資公社(GIC)の3人の従業員に対して民事制裁金を課した。MASは日本の金融庁(FSA)および証券取引等監視委員会(SESC)から本件に関して警告された。MASは通常の業務手順に従い民事制裁金の調査を行うことを決定した。

2.本件インサイダー取引違反は、東京証券取引所、大阪証券取引所、名古屋証券取引所に上場されている三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)株式に係るものである。証券先物法は、シンガポール国内での行為に関連して国外で取引される証券もカバーしている。

3.MASの調査の結果、2003年2月13日に、3人のGIC職員が、SMFGの転換権付優先株式の発行に関する未公表かつ価格に影響を及ぼす重要情報を利用したことが判明した。発行についての公表後、SMFGの株価は下落しており、SMFG株式の売却で約71万シンガポールドルの損失が回避された。当該利得は問題のGIC職員には帰属していない。

4.3人のGIC職員、Lim Kee Chong、Teng Cheong Thye、Choo Yong Cheenは民事制裁金の受け入れを承認し、裁判によることなく、法律の規定に基づき、MASに民事制裁金を支払う。Lim氏は証券先物法第219条(2)(a)、(2)(b)および(3)違反により40万Sドルを支払う。Teng氏は同法第219条(2)(b)違反により24万Sドルを支払い、Choo氏は同法第219条(2)(a)違反により7万5千Sドルを支払う。

5.MASのShane Tregillis Assistant Managing Director (Market Conduct部門)は、「インサイダー取引や市場における他の違法行為は、我々の資本市場の高潔さへの投資家の信頼を傷つける。MASは、我が国の管轄下において、証券先物法違反行為を行うあらゆる者に対して確固たる法執行を行うであろう。民事制裁金の導入により市場違反行為に対する民事提訴が可能となり、市場違反行為に対する追加的な法執行ツールが提供された。個人に課される相当額の罰金は、市場違反行為は許されないという明確なメッセージを市場に送るものである」と述べた。

6.Tregillis氏は、本件は国際的な規制当局間の協力の重要性とMASとFSAとの協力関係の強さを示すものだと述べた。同氏は「日本の市場での取引に関するFSAからの情報に対応して法執行を行うことで、MASはクロスボーダー取引における市場の高潔さを確保するため国際的な規制当局間の協力への強いコミットメントをも証明するものである」と述べた。

7.日・シンガポール新時代経済連携協定の一部として、MASとFSAは二国間の情報交換取極を締結している。

8.調査の全段階において、GICと3人の従業員はMASに全面的に協力した。このことは、民事制裁金の程度に反映されている。

9.MASの調査では、GIC自身による証券先物法違反の事実は認められなかった。しかしながら、GICは自発的に約71万Sドル(3人の職員による不法行為の結果生じた利得相当額)をMASに提供したところである。MASは、当該金額を追加的な消費者金融教育に利用する予定である。

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