マネックス証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成18年5月31日
証券取引等監視委員会

.勧告の内容
   証券取引等監視委員会は、マネックス証券株式会社(東京都千代田区、資本金74億円、役職員約90名)を検査した結果、下記のとおり当該証券会社及び当該証券会社の使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。


.事実関係
  (1)  顧客の有価証券の売買等に関する管理が不公正取引の防止上不十分な状況
    マル1  マネックス証券株式会社執行役員法規管理部長は、その業務に関し、顧客の勤務先の親会社又は子会社に上場会社等がある場合に、当該顧客を当該上場会社等の内部者として登録する体制を構築していない
    マル2  法規管理部における内部者登録システムの管理責任者は、その業務に関し、上場会社等に勤務する顧客の内部者登録手続を最後まで完了していない
    ことにより、それぞれ、上場会社等の会社関係者である顧客の内部者登録に多くの漏れが生じている状況のまま業務を営んでおり、これにより、顧客の有価証券の売買等に関する管理が不公正取引の防止上不十分な状況のまま業務を営んでいる。
     当該証券会社及び当該証券会社の使用人が行った上記行為は、証券取引法第43条第2号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第4号に規定する「顧客の有価証券の売買等に関する管理の状況が法人関係情報に係る不公正な取引の防止上十分でないと認められる状況」に該当する業務を営む行為に該当すると認められる。
 
(2)

  証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況
    マル1  マネックス証券株式会社においては、平成18年2月27日に、同社の夜間取引「マネックスナイター」において、大阪証券取引所を主市場とする銘柄の一部について、取引価格を誤って算出するという障害が発生したが、これは、大阪証券取引所の売買システムの変更が及ぼす影響の範囲について適切な確認を行っておらず、必要なプログラム修正を行っていなかったことに起因していた。
    マル2  同社においては、システム障害が多数発生していたことから、平成17年10月12日、金融庁より障害の発生原因及び再発防止策等の報告を命じられ、同年12月28日、外部システム変更時の影響範囲を見落としなく把握する体制を構築し、システム修正の要否、内容に問題がないかの確認を徹底する旨の報告書を金融庁に提出していたところである。
 上記マル1の障害は、JASDAQの新システムへの移行が及ぼす影響の範囲を見落としていたことに起因して平成17年8月29日に発生した障害とほぼ同一の原因によるものであり、執行役員システム部長は、その業務に関し、大阪証券取引所の売買システムの変更に伴い変更した同社システムのプログラムについて、テスト結果を十分に検証していればプログラムミスを容易に把握できたにもかかわらず、十分な検証を怠り、外部システム変更時の影響範囲の見落としによる障害の再発防止策を適切に実行していなかったものと認められる。
   
 当該証券会社及び当該証券会社の使用人が行った上記行為は、証券取引法第43条第2号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第11号に規定する「証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当する業務を営む行為に該当すると認められる。
 

 

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