楽天証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


平成19年6月5日
証券取引等監視委員会

.勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、楽天証券株式会社(東京都港区、資本金73億円、役職員205名)を検査した結果、下記のとおり、当該証券会社に法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


.事実関係
 
 証券業に係る電子情報処理組織の管理が不十分な状況
 
(1)  適切な再発防止策を講じていない状況
 楽天証券株式会社は、金融庁長官から平成17年11月16日、「証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況に該当する。」との理由で業務改善命令を受け、同命令に基づき、同年12月15日、「証券取引法第56条第1項の業務改善命令に基づく報告について」を金融庁長官に提出し、システム障害の未然防止のための改善策などを実施するとし、最終的に、平成18年5月19日、金融庁長官に対し「システム増強策等に関する報告について」を提出し、先の報告に基づく改善が終了した旨の報告を行った。
 ところが、当該証券会社では、全顧客又は特定のサービス利用顧客などに影響を与えたシステム障害を含め、依然システム障害が発生しており、以下に述べるとおり、システム障害の未然防止のための管理が十分とは認められない状況にある。
 第一に、システム障害の理由は品質管理のためのレビューの不足であり、再発防止策として当該レビューを実施する必要があったにもかかわらず、十分なレビューを実施せず、その結果システム障害を発生させた。
 第二に、キャパシティ管理などの運用管理態勢の強化が必要だったにもかかわらず、バッテリーの容量不足に伴うシステム障害を発生させるなどしており、システムの安定稼働を確保するための運用管理態勢の強化が図られたものとは認められない。
 第三に、システム障害時の情報を蓄積し、原因の究明を実施する必要があったにもかかわらず、システム障害の再発防止に活用するために必要な「トラブル事態報告書」が作成されていない、若しくは、作成されていても一連の対応を管理するための管理表への記載漏れを起こしているなど、管理に不備が認められる。

(2)

 システムリスク管理態勢が不十分な状況
 上記(1)の事実によれば、当該証券会社のシステムリスク管理態勢には、以下に述べるとおり不備が認められる。
 第一に、「トラブル事態報告書」の作成が不徹底で、経営者に対する報告が漏れているものが複数あるなど、システムリスクに関する情報の経営者に対する報告態勢が、適切なものとは認められない。
 第二に、品質管理のためのレビュー態勢、良質な電源を確保するための電源管理態勢の見直しがされずにシステム障害を引き起こしているなど、システムリスク管理態勢は、重要な部分について、必要な見直しがされておらず、その実効性が維持される態勢とはなっていない。
 第三に、バッチ処理の終了時刻の遅延を原因とする、顧客からの注文受付の停止という障害発生時に、顧客に対し必要な情報を開示しておらず、システム障害発生時に顧客の混乱を防ぐための適切な措置を講じたとは認められない。

 当該証券会社における上記の行為は、証券取引法第43条第2号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第11号に規定する「証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当する業務を営むことに該当するものと認められる。
   
 

 

 

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