株式会社アジアン・ブルーに対する検査結果に基づく勧告について

平成19年6月20日
証券取引等監視委員会



.勧告の内容
 東海財務局長が株式会社アジアン・ブルー(愛知県名古屋市、資本金22百万円、役職員4名)を検査した結果、下記のとおり当該投資顧問業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


.事実関係
 
(1)  契約を締結している顧客に交付する書面の未交付
 株式会社アジアン・ブルーは、前回検査(検査実施日:平成16年3月24日、東海財務局理財部検査。以下同じ。)において、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(以下「顧問業法」という。)第16条に定める「投資顧問契約を締結している顧客に対して交付する書面」(以下「16条書面」という。)を交付していないとの指摘を受け、東海財務局長(以下「当局」という。)に対し平成16年8月16日付で「専任の事務処理担当者を任命し、16条書面の交付状況のチェック表を作成する」ことなどを骨子とした改善報告書を提出していた。
 また、当局に対し平成18年6月29日付で「改善報告書どおり社内体制を整え、再発防止に努めている」とした改善策の実施状況報告書を提出していた。
 しかしながら、今回検査において検証したところ、当社は、前回検査実施日以降、平成17年10月1日から同18年3月31日までを対象とする期間を除き、今回検査基準日(平成19年1月16日)までの間に顧客32名に対して交付すべきであった16条書面53件を交付していなかったことが認められた。
 当社が行った上記の行為は、顧問業法第16条第1項に違反すると認められる。
 なお、当社は、上記改善報告書の改善策を実行していなかった。

(2)

 助言の内容を記録した書面の記載不備
 株式会社アジアン・ブルーは、前回検査において、顧問業法第34条に基づく同法施行規則第32条第1項第1号に定める「助言の内容を記録した書面」(以下「助言記録簿」という。)について、適切に記録されていない旨の指摘を受け、当局に対し平成16年8月16日付で「月に一度、記録状況のチェックを事務処理担当者が行い、社長が再チェックすることによって記録不備を防ぐ」旨の改善報告書を提出していた。
 また、当局に対し平成18年6月29日付で「月に一度、事務処理担当者に代わり内部管理担当役員がチェックし、その時点で不備事項があれば営業担当者に修正を求め、その後社長に報告することによって不備を事前に防いでいる」などとした改善策の実施状況報告書を提出していた。
 しかしながら、今回検査において検証したところ、当社は、前回検査実施日以降、今回検査基準日までの間、計22名の顧客について、その投資顧問契約の全期間又は一部の期間の助言記録簿を作成・保存していなかった。
 当社が行った上記行為は、顧問業法第34条に違反すると認められる。
 なお、当社は、上記改善報告書の改善策を実行していなかった。

(3)

 著しく事実に相違する表示等のある広告をする行為
 株式会社アジアン・ブルーは、電話帳から無作為に抽出し会員向けレポートを無料で郵送した多数の者について記録簿を作成しており、当該記録簿に記載された見込客のうちファックス番号を把握している57名に対し、平成18年7月6日、投資顧問契約の締結の勧誘を目的として当社の連絡先や助言実績等を記載した資料(以下「広告物」という。)をファックス送信により配付した。
 当社は、広告物において、上場株式5銘柄について株価が急落することを事前に予測して売付けの助言を行った旨の助言実績を記載していたが、今回検査において当該助言実績について検証したところ、実際には助言実績が全くなかったものであり、投資顧問契約に基づく助言の実績について著しく事実に相違する表示をしていたと認められる。
 当社が行った上記行為は、顧問業法第13条第2項に違反すると認められる。

(4)

 顧客の損失の一部を補てんするため財産上の利益を提供する行為
 株式会社アジアン・ブルー取締役(以下「取締役」という。)は、顧客1名(以下「顧客」という。)に対し、平成17年5月16日に上場株式1銘柄の買付助言を行ったが、その数日後から同銘柄は下落に転じており、顧客から、助言を信用して計95万円分を買い付けたが含み損が発生したとして苦情を受けていた。これに対し、取締役は、顧客に「もうしばらく様子を見てください」等と当該株式を継続して保有するよう説得していた。
 しかしながら、その後も苦情はおさまらず、顧客は、平成17年6月16日、当社に対し、発生した含み損相当額の穴埋め及び投資顧問契約の解除を申し入れるに至った。これを受け、当社代表取締役社長は、取締役に対して助言の根拠等の確認を行い、助言には何ら問題なかったとの結論に至ったものの、自ら顧客に連絡を取り、契約の解除に応じるとともに、当該契約解除までの期間に相当する報酬額として当社が受け取るべき報酬額の日割額を放棄し、その金額を顧客の含み損の一部に補てんして解決を図ることを申し入れ、同17年6月30日、顧客に対して約71千円の財産上の利益を提供した。
 当社が行った上記の行為は、顧問業法第22条第1項第4号に規定する「助言を受けた取引により生じた顧客の損失の一部を補てんするため当該顧客に対し財産上の利益を提供すること」に該当すると認められる。
 

 

 

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