DIP株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


平成19年6月21日
証券取引等監視委員会

.勧告の内容
 関東財務局長がDIP株式会社(東京都中央区、資本金1億円、役職員28名)を検査した結果、下記のとおり当該金融先物取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


.事実関係
 
 金融先物取引業を適正に運営するために必要な内部管理態勢を構築していない状況及び当該状況の下発生した法令違反行為

 DIP株式会社は、下記(1)記載のとおり金融先物取引業を適正に運営するために必要な内部管理態勢を何ら構築することなく当該業務を継続して行っており、その結果、下記(2)記載のとおり多数の法令違反行為を発生させている。
 

(1)

 必要な内部管理態勢を構築していない状況
 
マル1  内部管理業務担当者任命の不備等
 
.社内規則において、内部管理を担当する者として「内部管理担当役員等」を置くとしているが、代表取締役社長(以下「社長」という。)は、業務開始日(平成18年4月3日。以下同じ。)以降、検査基準日(同年9月27日。以下同じ。)に至るまで「内部管理担当役員等」を選任していない。
.イの結果、社長は実質的に内部管理を指揮統括する立場にあったにもかかわらず、内部管理業務の指揮統括を何ら行っていない。
.社内規則において、内部管理に従事する役職者のうちから内部管理責任者を任命するとしているが、社長は、業務開始日から平成18年9月20日までの間、内部管理責任者を任命しなかった。
.社長は、平成18年9月21日付で業務管理部次長、営業部長及び群馬営業所長の3名を内部管理責任者として任命したものの、同人達は、内部管理の職務を何ら行っていない。
マル2  業務に係る法令に照らした検証の不備
 組織規程上の業務分掌において、金融先物取引業登録(平成18年3月23日)以降平成18年4月30日までは監査部(当時。同年8月1日付で法務部に名称変更。以下同じ。)が、業務分掌を変更した同年5月1日以降は総務部がコンプライアンスに関する事項を所掌し、業務全般について法令に照らした検証を行うとしているが、両部はいずれも当該検証を全く行っていない。
マル3  内部監査の不備
 監査部は、業務開始日以降、内部監査計画の策定及び内部監査を全く行っていない。
マル4  役職員の法令遵守意識を高めるための方策の不備
 社長は、業務開始日以降、会議や研修等役職員の法令遵守意識を高めるための方策を何ら採っていない。

(2)

 認められた法令違反行為
 
マル1  標識の掲示に係る不備
マル2  契約締結前に交付すべき書面に係る記載すべき事項の未記載
マル3  成立した取引に係る書面の未交付
マル4  委託証拠金の受領に係る書面の未交付
マル5  業務に関する帳簿書類の未作成等
マル6  公衆の縦覧に供する説明書類の未作成
マル7  自己資本規制比率を記載した書面の未作成
マル8  外務員登録を受けていない者による受託契約等の締結の勧誘
マル9  本人確認等義務違反
(*個々の法令違反行為の詳細については、別紙のとおり。)
 
 上記(1)記載のような当社の業務の状況は、金融先物取引法第86条に規定する業務改善命令の要件となる「金融先物取引業者の業務の運営に関し、公益又は委託者等の保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
 また、当社が行った上記(2)記載の、マル1の行為は金融先物取引法第66条第1項に、マル2の行為は同法第70条第1項に、マル3の行為は同法第71条第1項に、マル4の行為は同法第72条第1項に、マル5の行為は同法第78条に、マル6の行為は同法第80条に、マル7の行為は同法第82条第3項に、マル8の行為は同法第95条第2項に、マル9の行為は金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律第3条第1項及び第2項並びに同法第4条第1項にそれぞれ違反するものと認められる。


補足資料(PDF/128KB)

 
 

 

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る