バークレイズ・キャピタル証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


成19年11月30日
証券取引等監視委員会

.勧告の内容

 証券取引等監視委員会は、バークレイズ・キャピタル証券株式会社(東京都千代田区、資本金255億円、役職員382名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者の使用人に係る外務員の職務に関する著しく不適当な行為の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、適切な措置を講ずるよう勧告した。


.事実関係
 
 
 外務員の職務に関する著しく不適当な行為(弊害防止措置に係る禁止行為を免れることを意図した取引の着手)
 

(1)

 バークレイズ・キャピタル証券株式会社(以下「当社」という。)が、共同主幹事会社として元引受けを行った円貨社債券(以下「本件社債」という。)について、当社クレジット・トレーディング部長は、本件社債を当社自己勘定で保有したいと考えたものの、それが困難であったことから、当社が代理を行っているバークレイズ・バンク・ピーエルシー(以下「BBPLC」という。)の口座を使って、本件社債を買い付けることとした。
 また、同部長は、BBPLCの口座を使って本件社債を買い付けることを検討する過程で、当該買付けが、証券会社の行為規制等に関する内閣府令(以下「行為規制府令」という。)第12条第1項第6号に規定する「証券会社が有価証券(中略)の引受人となった日から6月を経過する日までの間において、その親法人等(中略)に当該有価証券を売却すること(後略)。」に該当することを認識した。

(2)

 クレジット・トレーディング部長は、遅くとも平成18年12月13日までに、かねてからの友人であるA証券会社社員との間で、本件社債について、マル1A証券会社が募集により当社から取得する取引(以下「本件プライマリー取引」という。)と、マル2当社が代理するBBPLCがA証券会社から買い戻す取引(以下「本件セカンダリー取引」という。)の二つの取引(以下「本件スキーム」という。)を実行することを合意し、同年12月14日に本件プライマリー取引、同年12月15日に本件セカンダリー取引の約定が、それぞれ成立した。

(3)

 以上のとおり、クレジット・トレーディング部長は、本件社債について、行為規制府令第12条第1項第6号の禁止規定を免れることを意図して本件スキームに基づく一連の取引を実行した。

 なお、同年12月15日に約定が成立したBBPLCによる本件セカンダリー取引については、その後、当社コンプライアンス部が本件スキームについて問題意識を持ったことなどから、同年12月19日(処理日)、買戻し先をBBPLCから当社とした売買取引として訂正処理している。
 
 当該金融商品取引業者の使用人が、行為規制府令第12条第1項第6号の禁止規定を免れることを意図して本件スキームを実行した行為は、金融商品取引法第64条の5第1項第2号において外務員に対する監督上の処分を命ずることができる要件となる「外務員の職務に関して著しく不適当な行為をしたと認められるとき」に該当すると認められる。
 

 

 

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