ジャパン・ホテル・アンド・リゾート株式会社に対する検査結果に基づく勧告について


平成20年2月29日
証券取引等監視委員会

.勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート株式会社(東京都港区、資本金1億7千万円、役職員12名)を検査した結果、下記のとおり当該金融商品取引業者に法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


.事実関係
 
 利益相反状況における資産運用会社の忠実義務違反
 

(1)

 ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(以下「当投資法人」という。)は、平成17年12月14日、当投資法人が資産運用を委託しているジャパン・ホテル・アンド・リゾート株式会社(以下「当運用会社」という。)の利害関係人(以下「本件利害関係人」という。)との間で、当投資法人の運用資産として予定していた建物(以下「本件建物」という。)の取得に関し、不動産信託受益権譲渡契約(以下「本件譲渡契約」という。)を締結した。その際、当投資法人と本件利害関係人は、本件建物に係る信託受益権の譲渡日までに本件利害関係人が発注することとなっていたテナント集合看板(以下「本件看板」という。)に関する費用(以下「本件看板費用」という。)を本件利害関係人が負担することで合意した。

(2)

 当投資法人の執行役員(当時)は、平成18年2月末日頃、本件建物の賃借人(以下「本件賃借人」という。)から、本件利害関係人が未発注のままにしていた本件看板の設置を求められた際、本件看板費用については本件利害関係人が本来負担すべきものであることを認識していながら、当投資法人が本件看板費用を負担するという前提で、本件看板の設置を本件賃借人をして外部業者に対して発注させることとし、その後、同年4月17日には、当投資法人を代表して、本件利害関係人との間で、本件看板費用を本件利害関係人の負担から当投資法人の負担に変更する旨の覚書(以下「本件覚書」という。)を締結した(なお、同人は、本件覚書を締結することに関して、当投資法人の他の役員にも、当運用会社の役職員にも、あえて何ら相談・報告を行っていない。)。

(3)

 当運用会社の代表取締役(当時。なお、当投資法人の上記執行役員が当時当該役職を兼務していた。)は、本件看板費用については、当初の本件譲渡契約では本件利害関係人が負担すべきものとされており、本件覚書の締結により当投資法人が負担することになったことを認識しながら、本件賃借人に対して、本件看板費用を当投資法人が費用負担する資本的支出として処理することを求める申請書を当運用会社に対して提出するよう指示した。当該指示を受けて、当該賃借人は、当運用会社に対して当該申請書を提出したところ、当運用会社代表取締役及び同社管理本部長(当時)は、同年4月26日及び5月16日、何らの異議なく、当該申請を承認した。

 当運用会社は、上記のとおり、当投資法人が本件看板費用を負担しようとする際、本件看板費用については、本件利害関係人が本来負担することとなっていたことを認識しながら、何らの異議なく、当投資法人による当該費用の負担を承認しているところ、このような当運用会社の行為は、「投資信託委託業者は、投資法人のため忠実に当該投資法人の資産の運用に係る業務を遂行しなければならない」ことを定めた投資信託及び投資法人に関する法律(ただし、平成18年法律第65号による改正前のもの)第34条の2第1項に違反するものと認められる。
 

 

 

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