プロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成20年6月17日

証券取引等監視委員会


  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、プロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ株式会社(東京都千代田区、資本金2億円、役職員18名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1) 不適切な利益相反管理態勢

      プロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ株式会社(以下「当社」という。)は、プロスペクト・レジデンシャル投資法人(以下「本投資法人」という。)との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている本投資法人の資産の運用において、当社の親会社等の利害関係を有する者(以下「当社の利害関係者」という。)からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、以下のとおり、利益相反防止の観点から問題となる、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけを行い、また、不適切な不動産鑑定業者選定プロセスをとっていた。

      • マル1 不動産鑑定業者への不適切な働きかけ

        当社は、当社の利害関係者からの取得となる3物件の不動産の鑑定評価を依頼するに際し、概算の鑑定評価額(以下「概算評価額」という。)の算定を依頼した不動産鑑定業者に対し、売主の売却希望価格と同額以上で概算評価額の算定をするよう依頼し、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけを行い、特に、うち1物件の不動産については、概算評価額が売主の売却希望価格に必ず到達するよう、特段の働きかけを行っていた。

      • マル2 不適切な不動産鑑定業者選定プロセス

        当社は、当社の利害関係者からの取得となる5物件の不動産の鑑定評価を依頼するに際し、複数の不動産鑑定業者に対し、売主の売却希望価格を伝えたうえで概算評価額の算定を依頼し、概算評価額が売主の売却希望価格に達しない場合には、当該希望価格以上又はそれに近似する額が提示されるまで、不動産鑑定業者を追加して概算評価額の算定を依頼するとともに、いずれの物件についても、最高価格であり、売主の売却希望価格以上又はそれに近似する概算評価額を提示した不動産鑑定業者に鑑定評価を依頼する、売主の売却希望価格を最優先とした不適切な不動産鑑定業者選定プロセスをとっていた。

      当社の利益相反管理態勢は著しく不十分であり、金融商品取引法第51条の規定による業務の運営の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

    • (2) 不動産鑑定業者に対する不適切な資料提供に係る善管注意義務違反

      当社は、当社の利害関係者からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、不動産鑑定業者に対し、不適切な資料の提供をし、必要な資料の提供をしなかった。

      当社が行った上記行為は、「投資法人に対し、善良な管理者の注意をもつて当該投資法人の資産の運用に係る業務を遂行しなければならない」ことを定めた投資信託及び投資法人に関する法律(ただし、平成18年法律第65号による改正前のもの)第34条の2第2項に違反するものと認められる。

 

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