株式会社IHIに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について


平成20年6月19日
証券取引等監視委員会

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、株式会社IHIに係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    株式会社IHIは、

    • (1) 有価証券報告書等について、

      • マル1 平成18年12月15日、売上の過大計上及び売上原価の過少計上等により、連結中間純損益が10,095百万円(百万円未満四捨五入。以下、連結中間純損失額及び連結当期純損益額について同じ。)の損失であったにもかかわらず、これを2,817百万円の損失と記載するなどした中間連結損益計算書を掲載した平成18年9月中間期半期報告書を、

      • マル2 平成19年6月27日、売上の過大計上及び売上原価の過少計上等により、連結当期純損益が4,593百万円の損失であったにもかかわらず、これを15,825百万円の利益と記載するなどした連結損益計算書を掲載した平成19年3月期有価証券報告書を

      • それぞれ、関東財務局長に対して提出した。

        同社が行った上記の各行為は、金融商品取引法第172条の2第1項又は第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等を提出した行為に該当すると認められる。

    • (2) 発行開示書類について、

      • マル1 平成19年1月9日、関東財務局長に対し、平成18年9月中間期半期報告書を参照書類とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく一般募集により、同月26日、143,000,000株の株券を55,913,000,000円で取得させ、

      • マル2 平成19年1月9日、関東財務局長に対し、平成18年9月中間期半期報告書を参照書類とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく第三者割当による募集により、同年2月26日、21,450,000株の株券を8,044,608,000円で取得させ、

      • マル3 平成19年6月8日、関東財務局長に対し、平成18年9月中間期半期報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同月18日、社債券を30,000百万円で取得させ

        もって、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。

        同社が行った上記の行為は、金融商品取引法第172条第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、15億9,457万9,999円である。

  • (1) 金融商品取引法第172条の2第1項又は第2項の規定により、平成18年9月中間期半期報告書及び平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額について、

    • マル1 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(15,435,019円)

    • マル2 3,000,000円

    を超えることから、同半期報告書及び同有価証券報告書に係る個別決定ごとの算出額(同法第176条第2項の規定により1万円未満の端数切捨て)は、

    同半期報告書については、15,435,019円の2分の1に相当する額である7,710,000円

    同有価証券報告書については、15,430,000円

    となる。

    ここで、金融商品取引法第185条の7第2項の規定により、同一の事業年度に係る2以上の虚偽の継続開示書類が提出されたときは、課徴金の額を調整することとなるため、下記のとおり1,543万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額(同第18項の規定により1円未満の端数切捨て)が課徴金の額となる。

    平成18年9月中間期半期報告書に係る課徴金の額は

    15,430,000×7,710,000/(7,710,000+15,430,000)

    =5,141,110円

    平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は

    15,430,000×15,430,000/(7,710,000+15,430,000)

    =10,288,889円

  • (2) 金融商品取引法第172条第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた有価証券の発行価額の総額の100分の1(当該有価証券が株券等である場合にあっては100分の2)に相当する額が課徴金の額となることから、

    平成19年1月9日提出の一般募集についての有価証券届出書に係る課徴金の額は、
    55,913,000,000円×2/100=1,118,260,000円

    平成19年1月9日提出の第三者割当についての有価証券届出書に係る課徴金の額は、

    8,044,608,000円×2/100=160,892,160円
    について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満を切り捨てて、160,890,000円

    平成19年6月8日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
    30,000,000,000円×1/100=300,000,000円

となる。

 

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