大和証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成20年6月27日

証券取引等監視委員会


.勧告の内容

 証券取引等監視委員会は、大和証券株式会社(東京都千代田区、役職員7,408名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者の使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、適切な措置を講ずるよう勧告した。


.事実関係
 


 本人確認を行わない行為及び検査忌避行為
 
(1)

 仮名取引の疑いがある状況において本人確認を行わないまま取引の受託を継続していた行為
 大和証券株式会社名古屋支店上席コンサルタント部第2課次長(以下「第2課次長」という。)は、顧客Aの紹介にて顧客A同席のもと顧客Bと面談の上、顧客B名義の口座を平成18年7月6日に開設したが、その際、顧客Bを顧客Aの親族であると安易に思い込み、両者の関係についての確認を行わなかった。その後も、第2課次長は、当該口座における取引等(新規公開株式に係るブックビルディングの申込みや当該株式の取得後の売却及び売却代金の出金指示等)の受託及び約定報告を、すべて顧客Aとの間でのみ行い、取り分けブックビルディングの申込みに関しては、社内において、口座名義人本人から受けるよう再三指示されていたにもかかわらず、顧客Aからの申込みを受け続け、その間、顧客Bとは一度も面談及び電話連絡を行っておらず、また、顧客Bの属性や資金の性格等についての確認も行っていなかった。
 このように、仮名取引の疑いがある状況において、口座名義人本人についての本人確認を行わないまま、平成18年7月12日から同19年12月10日までの間、当該口座における取引等を受託していた事実が認められた。
 
(2)

 検査忌避行為
 第2課次長は、今回検査における名古屋支店への臨店検査期間中である平成20年2月4日、顧客Aに電話連絡し、顧客B名義の取引には仮名取引の疑いがあると認識した上で、それが発覚しないようにするため、口裏合わせの依頼を行った。
 また、第2課次長は、顧客Bの口座の受注形態に関して、検査官から質問を受けた際、すべて顧客Aからの受注であったにもかかわらず、顧客B本人から受注している旨の虚偽の回答を行っていた事実が認められた。
 さらに、第2課次長は、上記の口裏合わせを確実なものにするため、顧客Aからの依頼に基づき、社内規則で定められている個人情報の持出しの手続きをとることなく、顧客B名義の口座の取引明細等を社外に持ち出し、顧客Aの自宅及び顧客Aの会社の事務所へファックスで送付したという事実も認められた。
 
 当該使用人が行った上記(1)の行為は、「取引の相手方が取引の名義人になりすましている疑いがある場合における当該取引」を行うに際し、本人確認を行わない行為に該当し、金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律第3条第1項に違反するものと認められる。
 また、当該使用人が行った上記(2)の行為は、金融商品取引法第198条の6第11号に規定する「検査を忌避した」行為に該当するものと認められる。

 

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