アセットカンパニー株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成20年8月1日
証券取引等監視委員会

  • 1.勧告の内容

    北海道財務局長が、アセットカンパニー株式会社(北海道札幌市、資本金280百万円、役職員14名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 不正の手段により金融商品取引業の登録を受けた行為及び自己資本規制比率が120%を下回る状況等

      • (1) 不正の手段により金融商品取引業の登録を受けた行為

        アセットカンパニー株式会社(以下「当社」という。)においては、平成19年11月、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第31条第4項の規定に基づき第一種金融商品取引業の登録申請を行った。しかし、当社の同年9月末時点の純財産額及び自己資本規制比率は、登録拒否要件を規定する金商法第29条の4第1項第5号ロの純財産額(5千万円)及び同項第6号イの比率(120%)を下回る状況にあった。

        そこで当社は、同年9月末及び10月末時点につき、虚偽の記載をした最終の貸借対照表及び損益計算書(金融商品取引業等に関する内閣府令第10条第1項第1号)を作成したほか、純財産額を算出した書面(同項第2号イ)及び自己資本規制比率を算出した書面(同項第3号ロ)についても虚偽の記載をし、登録拒否要件に該当しないものとして、登録申請を行った。当社は、同年11月28日、第一種金融商品取引業者の登録を受けた。

      • (2) 自己資本規制比率が120%を下回る状況等

        • ア.当社の自己資本規制比率は、本件登録申請日(平成19年11月2日)以降、検査基準日(同20年5月30日)までの間、120%を下回る状況となっていた。また、当社の純財産額についても同様に、本件登録申請日以降、検査基準日までの間、5千万円に満たない状況となっていた。

        • イ.当社は、本件登録申請日(平成19年11月2日)以降、検査基準日(同20年5月30日)までの間、金商法第46条の6第1項に基づく自己資本規制比率の状況について、140%を下回っていたにもかかわらず、その旨の届出を行わず、また、毎月末の届出に関しても、その比率が120%の基準を満たしているとした虚偽の内容の書面を提出した。

        • ウ.当社は、本件登録に際し、当局から、金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告徴求命令として資料の提出を命じられ、本件登録以降、毎月末の自己資本規制比率に係る届出の添付資料として、マル1 毎月末の残高試算表、マル2 顧客からの預り金残高の明細を提出した。

          しかし、当該添付資料のうちマル1については、平成19年11月以降同20年4月までの間の各月末時点のものに関し、また、マル2については、同20年2月以降同年4月までの間の各月末時点のものに関し、それぞれ虚偽の内容を記載した。

      • (3) 自己の財産と顧客の財産を区分管理していない状況

        当社は、顧客の預り保証金及び外国為替証拠金取引に係る実現損益、評価損益等に相当する金額を、保証金顧客口の銀行預金及び当社のカバー取引先への保証金(以下「区分管理額」という。)として預託することにより、自己の財産と顧客の財産を区分管理することとしていたが、平成19年12月14日に区分管理額不足が発生した後、検査基準日である平成20年5月30日に至るまで区分管理額不足となっていた。

        前記(1)は、虚偽の記載をした申請書類を提出することにより金融商品取引業の登録を受けた行為であり、金商法第52条第1項第5号の「不正の手段により登録を受けたとき」に該当する。

        前記(2)ア.のうち、自己資本規制比率が120%を下回っていた状況は、金商法第46条の6第2項に違反する。また、純財産額が50百万円を下回っていた状況は、金商法第52条第1項第3号に該当する。

        以下のマル1からマル3までの各法令違反の事実は、金商法第52条第1項第6号の「法令に違反したとき」に該当する。

        • マル1 前記(2)イ.の自己資本規制比率に関して、140%を下回ったにもかかわらずその届出をせず、また、虚偽の内容の届出を行っていた行為は、金商法第46条の6第1項に違反する。

        • マル2 前記(2)ウ.の報告徴求命令に基づく提出資料につき虚偽の内容の資料を提出していた行為は、金商法第198条の6第10号に該当する。

        • マル3 前記(3)の区分管理されていなかった状況は、金商法第43条の3第1項に違反する。

 

 

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る