サクセット株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成20年11月4日

証券取引等監視委員会


  • 1.勧告の内容

    福岡財務支局長がサクセット株式会社(福岡県福岡市、資本金71百万円、役職員8名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者及びその使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 店頭金融先物取引において、売付け及び買付けの価格を同時に提示せずに値決めを行っている状況

      • (1) 当社が行っている店頭外国為替証拠金取引業務において、当社が顧客に対して交付している契約締結前交付書面等に記載された方法と異なり、取引通貨の売付け及び買付けの価格の双方があるにもかかわらず、顧客に対してこれらを同時に提示しておらず、値決め担当者が売付け及び買付けの価格を任意に決定している状況にあった。

        こうした状況の中、当社の値決め担当者である管理部係長代理は、平成19年5月から同年6月頃、為替相場が円安傾向にあったため、顧客が行ったニュージーランドドル/円の通貨取引(以下「本件NZドル/円取引」という。)の買建てについて、反対売買を行ったならば、利益を得ることができると認識した。

      • (2) 管理部係長代理は、上記(1)記載の業務状況にあって、通常、顧客からの注文を成行で受注していたことを奇貨として、上記(1)記載の認識に基づき行った本件NZドル/円取引の反対売買について、顧客との間の取引は、当社のカバー取引先(以下「当社カバー先」という。)の提示レート(対顧客との間の値決めにおいて当社が参照するとしている価格)より大幅に低い価格で約定処理を行う一方で、当社カバー先との間の取引は提示レートで約定することにより、対顧客と対当社カバー先との取引による差額分を当社に帰属させることを企図した。

      • (3) 管理部係長代理は、上記(2)記載の企図のもと、平成19年6月12日から同月15日にかけて、当社の各営業員に対し、本件NZドル/円取引の買建てに係る仕切り売り希望の有無を確認するよう指示し、かかる指示を受けた営業員が取引の勧誘を行った。この結果、売付け及び買付けの価格の双方があるにもかかわらず、顧客に対してこれらを同時に提示することなく、46顧客から仕切り売り注文(成行)を受注し、当社カバー先が提示する価格より、さらに1通貨単位当たり約4円から2円低い価格で約定した。

        一方、管理部係長代理は、当該約定後、当社カバー先における仕切り売りを提示レートで行うことにより、当社は対顧客と対当社カバー先との取引の差額として、売買益48,526,300円(当社が顧客に説明しているスプレッド、手数料を除く。)を取得した。

    上記記載の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第20号に規定する「店頭金融先物取引について、売付け及び買付けの価格の双方がある場合に、これらの価格を同時に提示していない状況」(平成19年9月30日以降の状況。同年9月29日以前の状況については、廃止前の金融先物取引法第77条第2号に基づく同法施行規則第25条の2第3号に規定する「店頭金融先物取引について、通貨等の売付け及び買付けの価格の双方がある場合に、これらの価格を同時に提示していない状況」)に該当するものと認められる。

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る