シービーアールイー・レジデンシャル・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成20年11月7日

証券取引等監視委員会


  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が、シービーアールイー・レジデンシャル・マネジメント株式会社(東京都港区、資本金2億1千万円、役職員37名)を検査した結果、下記のとおり当該金融商品取引業者の業務の運営に関し、公益又は投資者保護上の問題が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 第三者割当増資の決議等に係る議事録の不実記載等

      シービーアールイー・レジデンシャル・マネジメント株式会社(以下「当社」という。)は、ニューシティ・レジデンス投資法人(以下「当投資法人」という。)の資産運用を行っているが、当投資法人の第三者割当による新投資口の発行(以下「第三者割当増資」という。)に対する当社の助言等に関する投資委員会(以下「本件投資委員会」という。)及び本件投資委員会後に開催された取締役会(以下「本件取締役会」という。)での審議、承認及び決議等において、第三者割当増資議案に係る誤った決議、当該誤決議に気づいた直後の不適切な対応、社外取締役に対する本件投資委員会議事録及び本件取締役会議事録(これらの議事録を総称して、以下「本件議事録」という。)の不実記載への協力に関する依頼、本件議事録の不実記載を行っていた。

      • (1) 本件投資委員会での第三者割当増資議案に係る誤った決議

        本件投資委員会(平成20年4月22日開催)において、当社の社内規程では、「議決権を有する社外取締役全員の賛成」が決議要件とされているところ、投資委員全員及び陪席者全員が当該決議要件を認識していなかったことから、第三者割当増資議案について、当社の社外取締役(以下「社外取締役」という。)が決議において反対の意思を表明したにもかかわらず、社外取締役を除く他の委員の賛成により多数決で可決した。

      • (2) 本件投資委員会での誤決議に気づいた直後の不適切な対応

        当社チーフ・コンプライアンス・オフィサー(以下「CCO」という。)は、本件投資委員会(CCOは、本件投資委員会に陪席。)に引き続き同日開催された本件取締役会の最中に、本件投資委員会における第三者割当増資議案が社外取締役の反対により当該決議要件を満たしておらず、取締役会に上程することが適切でないことに気づいたにもかかわらず適切な対応をとることなく、本件取締役会の議事を続行させた。その後、当投資法人は、第三者割当増資議案を決議し、当投資法人及び当社は、その結果につきプレスリリースを行うとともに、当投資法人は、有価証券届出書を関東財務局に提出した。

      • (3) 社外取締役に対する本件議事録の不実記載への協力に関する依頼

        CCOは、同年4月23日、当社代表取締役社長(以下「代表取締役」という。)ほか2名とともに、本件投資委員会における第三者割当増資議案の決議に係る善後策を検討した結果、社外取締役に対して、本件投資委員会における第三者割当増資議案について、マル1 決議を棄権したこと、マル2 その結果、全員賛成で決議されたと議事録に記載させて欲しい旨を依頼することとし、代表取締役及びCCOほか1名が依頼文を作成し、同月28日付で社外取締役に送付した。

      • (4) 本件議事録の不実記載

        • マル1 同年5月20日、CCOは自ら、本件取締役会議事録のドラフト(第三者割当増資議案の箇所)について、社外取締役は、決議への参加を棄権し、議決権を放棄し、満場一致で承認・可決した旨の事実と異なる記載をした。

          また、本件投資委員会議事録のドラフトも、本件取締役会議事録のドラフトを基に作成しているため、同様に事実と異なる記載がなされた。

        • マル2 当社は、同月22日、事実と異なる記載がなされた本件議事録のドラフトへの承認及び押印を社外取締役に依頼したところ、社外取締役はこれに応じず、本件投資委員会及び本件取締役会における第三者割当増資議案に棄権することなく反対票を投じた旨の回答があった。

          また、社外取締役は、当社のグループ会社の社長(以下「日本法人社長」という。)をして、代表取締役に対し、議事録の訂正内容の確認を要求した。

          これらを受け、代表取締役は、本件取締役会議事録のドラフトのうち、第三者割当増資議案に係る決議事項部分についてのみ、社外取締役が反対した旨に記載内容を訂正し、再度社外取締役に承認の依頼をし、また、日本法人社長に対し、当該訂正部分のみを提示し、日本法人社長の了承を得た。

        • マル3 しかしながら、当社が正本とした本件取締役会議事録には、第三者割当増資議案は、本件投資委員会において審議及び可決の上、本件取締役会に上程された旨の事実と異なる記載がなされており、代表取締役及びCCOは、当該記載が事実と異なる記載であることを認識しているにもかかわらず、当該記載を訂正しないまま、正本とした。

          また、本件投資委員会議事録についても一切訂正しておらず、社外取締役に対し、確認のためこれを送付さえしていない状況にある。

    上記のとおり、当社では、本件投資委員会での第三者割当増資議案に係る決議について、マル1 法令遵守責任者であるCCOが、決議要件を満たしていないことを認識しながら適切な対応を行っておらず、マル2 代表取締役及びCCOは、第三者割当増資議案に反対した社外取締役に対し、当該議案に棄権したことにして欲しいと依頼し、マル3 CCOは、社外取締役が当該依頼に同意することを前提に、自ら不実の本件取締役会議事録のドラフトを作成しており、また、本件議事録も訂正されることはなく、マル4 更に、これらCCOの行為を代表取締役が容認している。

    このような当社の投資委員会等の運営に関する内部管理態勢の不備は、金融商品取引法第51条の規定による業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる場合の要件となる「金融商品取引業者の業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

 

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