証券検査に係る業務点検プロジェクトの検討状況について

平成20年12月25日
証券取引等監視委員会

  • 1.基本的考え方

    証券取引等監視委員会(証券監視委)の使命は、市場の公正性・透明性の確保、投資者の保護を目指して市場監視を行うことにある。

    我が国金融・資本市場は、金融商品・取引の複雑化・多様化・グローバル化といった環境変化や金融商品取引法の施行をはじめとする制度の変革など、ダイナミックな状況変化に直面している。こうした大きな変化に対応するためには、証券監視委の使命を踏まえつつ、これまで以上に、証券検査の効率性と実効性の向上を追求する必要がある。

    証券検査の効率性と実効性の向上を図るためには、金融商品取引業者等における法令違反行為の検証を基本としつつも、公益の確保や投資者保護を念頭に、その背景となる内部管理態勢の適切性を、業者の規模・特性を踏まえつつ、検証することも重要である。

    また、今般のグローバルな金融危機に鑑みれば、特に、グローバルに活動する金融商品取引業者等に対する検査等においては、財務の健全性を含め、広くそのリスク管理態勢のあり方にも着目していく必要がある。

  • 2.検討状況

    検査の効率性と実効性の具体的な向上策として、以上のような観点から、当プロジェクトにおいて、以下のような方向で議論が進められているところである。証券監視委としては、今後、議論をさらに具体化し、「証券検査に関する基本指針」や「金融商品取引業者等検査マニュアル」等の改訂に反映させていく方針である。

  • 【検査の予告制】

    検査の予告については、検査が法令違反行為の指摘だけでなく、その背景となる管理態勢をも検証するものへと拡張するにつれ、無予告制の意義が限定的な場合も増えると考えられることから、効率性向上の観点も踏まえ、一定の場合、予告制を試行的に導入することとする。

  • 【検査中の対話の充実】

    臨店中における、検査官と金融商品取引業者等との双方向の対話を充実させる観点から、臨店検査の開始及び終了時点等において、経営陣を交えたミーティング(エグジット・ミーティング等)を実施することとする。

    また、双方向の対話の充実を促し、行政の透明性を図る観点から、検査結果の講評についても、なるべく早く実施することを検討するものとする。

  • 【検査の品質管理】

    業者の規模・特性を踏まえた内部管理態勢等の適切性の検証に関し、その検査の品質を確保し、検査官の目線を統一するためにも、ミドル・オフィス(検査監理官室等)による検査官のサポート体制を強化するとともに、検査官の研修を充実させ、検査マニュアルの見直しを検討するものとする。

    検査モニターについても、検査の効率性だけでなく、対話を通じた内部管理態勢等の検証等が適切に行われているか等、検査の実効性についても、必要に応じ、モニターの対象とするものとする。また、臨店終了後もアンケート方式で意見を受け付ける、オフサイト検査モニターの導入等により、モニターの機能の充実を図る。

  • 【検査の結果】

    検査結果通知については、個々の法令違反行為の分析だけではなく、その背景にある金融商品取引業者等の内部管理態勢やリスク管理態勢の適切性の分析も充実させることとする。

    また、処分勧告等を行うか否かの判断に際しては、結果として生じている法令違反等の行為・状況の重大性・悪質性だけでなく、その背景となった管理態勢の適切性等についても、金融商品取引業者等の規模・特性を勘案しつつ、総合的に検証することとする。

以 上

【お問い合わせ先】
証券取引等監視委員会 TEL03(3506)6000(代表)
事務局証券検査課
(内線:3044、3039)

 

 

 

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