マネックス証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

平成21年3月13日

証券取引等監視委員会


  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、マネックス証券株式会社(東京都千代田区、資本金74億円、役職員261名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 金融商品取引業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況

      マネックス証券株式会社(以下「当社」という。)は、金融庁長官から、平成18年6月7日、「証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況に該当する」との理由で業務改善命令を受け、同命令に基づき、同年7月7日、「証券取引法第56条第1項の業務改善命令に基づく報告について」(以下「改善報告書」という。)を金融庁長官に提出し、外部委託先に対する改善の要請と当社による当該改善実施状況の継続的確認、及び当社における改善策の実施に係る報告を行った。

      しかしながら、当社における当該改善策等の対応は、以下のとおり不十分なものとなっており、依然として電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況にある。これは、当社経営陣が、上記改善策等の実施状況について、電子情報処理組織の管理に係る改善活動の主体であるテクノロジー部からの報告を受けるのみで、マル1各部が行う改善状況を統括的に管理監督する責務を担う部署を定めず、マル2改善活動の具体的な方針を定めず、マル3改善活動の評価基準を定めていなかったことに起因するものである。

      • (1) 外部委託先における改善策の実施状況

        当社は、外部委託先の改善項目について、その改善がどのように実施されているかを把握しておらず、多数の改善漏れが発生した。

      • (2) 当社における改善策の実施状況

        当社は、改善報告書において、以下の点を改善項目として挙げていたが、その改善状況は十分なものと認められない。また、改善報告書に基づく改善状況を監査する立場の業務改善支援室は、各改善項目に係る実効性のある検証を行っていたものとは認められない。

        • マル1 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー、外部委託先)管理態勢の強化

          当社は、改善報告書において、ASP共通の管理確認リストを作成し、管理レベルを整備するなどとし、「管理確認リスト」を作成して外部委託先の評価を行っていたものの、当社が行っているASPの評価は、ASPによる自己評価であり、当社は、当該自己評価の結果について、裏付資料を徴求するなど、主体的な評価を行っていない。

        • マル2 容量不足に起因するシステム障害防止対策

          当社は、改善報告書において、各ASPのキャパシティ管理基準の妥当性の検証等を行うとしていたものの、外部委託先との契約において、キャパシティ管理基準上の閾値を具体的に定めておらず、平成20年4月から同年10月までの間に、容量不足に起因するシステム障害を9件発生させた。

        • マル3 設計ミス又はテスト漏れに起因するシステム障害防止策

          当社は、改善報告書において、レビュールールとしての責任の所在及び手続きの明確化等を行うとしていたものの、当該改善項目を適切に実施していないことに起因するシステム障害を発生させた。

        • マル4 運用ミスに起因するシステム障害防止策

          当社は、改善報告書において、当社による主体的な当社システムの変更管理の実施、並びに修正範囲、影響範囲及び障害発生時のリカバリー方法等の事前確認等を行うとしていたものの、影響範囲の確認等を行わなかったこと等に起因してシステム障害を発生・拡大させた。

        • マル5 再発防止策の実効性確保

          当社は、改善報告書において、システム障害の再発防止策の実施状況についての確認及び検証、並びにコンプライアンス・ミーティングへの報告等を行うとしていたものの、再発防止策の実施状況の確認等が実効的になされているとは認められない。

        • マル6 検証体制の強化

          当社は、改善報告書において、システム部門による再発防止策検証会議の開催等を行うとしており、当該会議を実施していたものの、業務改善支援室は、当該会議の審議内容についての検証を行っていない。

        • マル7 外部システム監査

          当社は、改善報告書において、外部システム監査を実施するとしていたものの、改善報告書提出以降検査基準日までの間、外部システム監査を全く行っていない。

    当社における上記の業務の運営の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当するものと認められる。

 

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