平成21年6月5日

証券取引等監視委員会

成瀬証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が成瀬証券株式会社(東京都中央区、資本金720百万円、役職員130名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者の業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護上の問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 当社に帰属しない配当金を不当に受領する行為等

      当社において、下記のとおり、遅くとも平成10年4月から検査基準日(同20年8月27日)までの間、顧客や当社元社員に係る株券につき、当社の収益を向上させることを目的として、当該株券に係る当社に帰属しない配当金を不当な手段を用いて受領する行為等が認められた。

      • (1) 顧客に係る株券につき配当金を不当に受領する行為等

         当社は、その収益向上を目的として、保護預り株券のうち本人名義への書換え等に同意していない顧客計76名に係る株券201銘柄(数量1,042,973株)について、権利確定日の直前に当該株券がその保管先から返還されることを利用して、何らの権限もないにもかかわらず、当該株券の名義を当社名義に書き換える又は当社を実質株主として報告するなどした上で、当該株券につき当社に送付されてくる当社名義の配当金支払通知書添付の払出金受領証に記載・押印するなどし、当該株券に係る顧客等に帰属すべき配当金を不当に受領した(当社が受領した金額は、少なくとも約5,897千円である。)。

      • (2) 当社元社員に係る株券につき配当金を不当に受領する行為等

         また、当社は、その収益向上を目的として、当社元社員計6名に係る個人名義の株券7銘柄(数量1,131株)について、当該株券に係る配当金支払通知書が当社あてに郵送されてくることを利用して、当該通知書に添付されている払出金受領証に元社員の氏名を記載し、当社代表取締役印を押印するなどし、何らの権限もないにもかかわらず、当該株券に係る元社員等に帰属すべき配当金を不当に受領した(当社が受領した金額は、少なくとも約53千円である。)。

        当社における上記の行為は、市場仲介者として公正性・透明性が要求される証券会社の信頼を著しく失墜させる不当な手段を用いて、当社に帰属しない金銭(顧客等及び元社員等に帰属すべき配当金)を受領等していたものであり、当社においては、このような行為が要職にある者の主導により長期間にわたり継続的に行われ、また、経営者や監査部署はこれを看過してきたのであり、このような当社の内部管理態勢には重大な不備があり、行政処分によりその業務の改善を求める必要があるものと認められる。

        当社における上記のような業務の運営の状況は、金融商品取引法第51条の規定による業務の運営の状況の改善に必要な措置を命ずることができる場合の要件となる「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

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