平成21年6月5日
証券取引等監視委員会
カブドットコム証券株式会社社員ほか1名による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、カブドットコム証券株式会社社員ほか1名による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者
は、株式会社三菱東京UFJ銀行と業務・資本提携に関する契約を締結していたカブドットコム証券株式会社の社員であったが、同社の役員が、同契約の履行に関し知った、
(1) 株式会社三菱東京UFJ銀行の業務執行を決定する機関がカブドットコム証券株式会社株券の公開買付けを行うことを決定した事実を、その職務に関し知り、この事実が公表された平成19年3月6日より前の同月5日に、自己の計算において、カブドットコム証券株式会社の株券合計26株を総額510万1,000円で買い付け、
(2) 株式会社三菱東京UFJ銀行の業務執行を決定する機関がカブドットコム証券株式会社株券の公開買付けを行うことを決定した事実を、その職務に関し知り、この事実が公表された平成19年11月15日より前の同月14日に、自己の計算において、カブドットコム証券株式会社の株券7.5株を総額114万7,500円で買い付け
たものである。
課徴金納付命令対象者
は、課徴金納付命令対象者
から、上記(1)の事実の伝達を受け、この事実が公表された平成19年3月6日より前の同月5日に、自己の計算において、カブドットコム証券株式会社の株券合計26株を総額510万1,000円で買い付けたものである。
上記2名が行った上記の各行為は、金融商品取引法(平成20年法律第65号による改正前のもの。以下「旧金融商品取引法」という。)第175条第2項に規定する「第百六十七条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において同条第一項に規定する特定株券等若しくは関連株券等に係る買付け等又は同項に規定する株券等に係る売付け等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、課徴金納付命令対象者
については44万円、課徴金納付命令対象者
については38万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○ 課徴金の額の計算方法について
旧金融商品取引法第175条第2項に基づき、課徴金の額は、
(公開買付けの実施に関する事実が公表された翌日の終値等)×(買付株数)-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、課徴金の額は下記の金額となる。
課徴金納付命令対象者
(1) 株式会社三菱東京UFJ銀行によるカブドットコム証券株式会社の株券の公開買付けの実施に関する事実の公表翌日の平成19年3月7日のカブドットコム証券株式会社の株価の終値は、211,000円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(211,000円×26株)-買付価額5,101,000円(注)=385,000円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、38万円
(注) 買付価額は、 ┌
│
│
└196,000円×21株 ┐
│
│
┘の合計額である。 197,000円× 5株 (2) 株式会社三菱東京UFJ銀行によるカブドットコム証券株式会社の株券の公開買付けの実施に関する事実の公表翌日の平成19年11月16日のカブドットコム証券株式会社の株価の終値は、162,000円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(162,000円×7.5株)-買付価額1,147,500円(153,000円×7.5株)=67,500円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、6万円
課徴金納付命令対象者
株式会社三菱東京UFJ銀行によるカブドットコム証券株式会社の株券の公開買付けの実施に関する事実の公表翌日の平成19年3月7日のカブドットコム証券株式会社の株価の終値は、211,000円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(211,000円×26株)-買付価額5,101,000円(注)=385,000円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、38万円
(注) 買付価額は、 ┌
│
│
└196,000円×21株 ┐
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│
┘の合計額である。 197,000円× 5株