平成21年6月26日

証券取引等監視委員会

ゲインズ・アセット・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、関東財務局長と合同して、ゲインズ・アセット・マネジメント株式会社(東京都中央区、資本金5千万円、役職員33名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 集団投資スキーム持分の募集において公益及び投資者保護上重大な法令違反行為が認められる状況

      ゲインズ・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」という。)は、平成20年5月に第二種金融商品取引業の登録を受け、匿名組合契約に係る出資の募集を主要業務としているものであり、当該募集による出資金を充てて行われる事業(以下「出資対象事業」という。)は、高濃度酸素発生器のリース事業(当該事業における事業管理会社を、以下「A社」という。)を含む2事業である。

      当社は、当該酸素発生器リース事業に係る集団投資スキーム(以下「O2ファンド」という。)の持分につき、平成20年5月以降、7種類募集しているが、当該募集において、下記(2)及び(3)のとおり、公益及び投資者保護上重大な法令違反行為が認められた。

      • (1) 本件O2ファンドの運営状況等

        • マル1 匿名組合財産や出資対象事業の運用実績の裏付けのない配当

          本件O2ファンドに係る出資対象事業につき、平成20年11月分以降、A社から当該事業に係る稼働・運用報告がなされず、また、同年12月分以降については、酸素発生器の稼働率が相当悪化して出資対象事業の収益がほとんどないため、当社においてA社からの収益金の入金が遅延し又は入金がないなどといった状況にあった。

          このような状況の中で当社は、本匿名組合財産の状況や出資対象事業の運用実績を把握・確認することなく、現にその運用実績の裏付けがないにもかかわらず、稼働率70%を前提とした年利回り10%前後の配当をしている。

        • マル2 出資者に説明されていない多額の出資者負担費用(販促費用)の徴取

          当社は、当社が出資金から徴取する手数料その他の出資者が負担する費用等(以下「出資者負担費用」という。)につき、販売勧誘資料や契約締結前交付書面において「申込手数料」として出資金の5%相当額(一口50万円につき2万5000円)等を記載しているにとどまる。

          しかしながら、当社は、出資金一口50万円から、上記「申込手数料」のほか販促費用20万円(一口50万円の40%相当額)をA社から入金を受けてこれを徴取し、出資者に負担させていた。

      • (2) 出資者に誤解を生じさせる広告及び表示等

        上記(1)の事実関係は、いずれも出資者が本件O2ファンドに出資をするかどうかの投資判断に重大な影響を与えるものと認められ、当社は、遅くとも平成21年3月頃以降、当該各事実関係を認識し又はこれらを調査・確認すべきであったと認められる。

        しかしながら、当社は、

        • マル1 出資金一口(50万円)のうち20万円を販促費用として徴取しているが、その募集に際して販売勧誘資料等において、当社が出資金から徴取する出資者負担費用として「申込手数料」(2万5000円)等を記載するにとどまり、当該販促費用につきこれを表示し、出資者に説明すべきものと認められるにもかかわらず、これを徴取する旨の表示・説明がなされていない。

        • マル2 当社が行った配当につき、出資対象事業の運用実績の裏付けが全くないものであるにもかかわらず、当社のホームページには年利回り「10.8%」などと表示されており、「70%程度の稼働率があり、そのような運用実績の裏付けがある」という著しい誤解を生じさせる表示となっている。

        • マル3 平成21年3月以降に募集が開始された本件O2ファンドに係る出資の募集に際し、その当時において出資対象事業の運用実績が確認できず、また、実際の稼働率が相当悪化し、対象期間の収益金がA社から入金されていない状況であったにもかかわらず、販売勧誘資料である「募集要項」には、そのような現状からは実現可能性がほとんどないというべき稼働率(50~90%)に着目した想定利回り表が掲載されているほか、稼働率の維持に努めるなどといった記載もあり、匿名組合契約書の運用方針には、想定稼働率を60%以上と設定する旨記載されている。このような表示は全体として、「酸素発生器の稼働率として50~90%も実現可能であり、また、当社が実際の稼働率を把握・確認した上で配当を行っている」と受け取れる誤解を生じさせる表示であると認められる。

      • (3) 無登録業者への名義貸しによる募集

        株式会社Bの社員は、平成20年12月頃以降、本匿名組合契約に係る出資の募集につき、同社の業務として、営業代行と称して当社の名義を用いて当該募集を行っており、当社は、金融商品取引業の登録を受けていない同社及びその社員に対して当社の名義を貸し、当該募集行為を行わせている。

    当該金融商品取引業者が行った上記各行為のうち、上記(2)マル1については、事実に反する表示であると認められ、他方、同マル3については、出資者の投資判断を左右する重要な事項につき誤解を生じさせる表示であると認められ、いずれも金融商品取引法第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に該当する。また、同マル2については、広告等において利益の見込みにつき著しく人を誤認させるような表示であると認められ、金融商品取引法第37条第2項に違反する。

    同(3)の行為は、自己の名義をもって他人に金融商品取引業を行わせたものと認められ、金融商品取引法第36条の3に違反する。

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