平成21年9月11日

証券取引等監視委員会

New Asia Asset Management株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、関東財務局長と合同して、New Asia Asset Management株式会社(東京都港区、資本金1千万円、役職員8名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    集団投資スキーム持分の私募の取扱いにおいて公益及び投資者保護上重大な法令違反行為等が認められる状況

    New Asia Asset Management株式会社(以下「当社」という。)は、平成20年12月4日に第二種金融商品取引業の変更登録を受け、ファンド営業者が取得した車両や重機等をモンゴル国内で資源開発を行う会社にリースする等により出資金を運用するとした「モンゴルファンド」(以下「ファンド」という。)の私募の取扱いを行っているところであるが、当該業務において、下記のとおり、公益及び投資者保護上重大な法令違反行為等が認められた。

    • (1) 無登録業者に対する私募の取扱業務の業務委託

      当社は、東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング株式会社が金融商品取引業の登録を受けた者でないことを知りながらファンドの私募の取扱業務を委託し、同社の営業担当者に当社の名において私募の取扱業務を行わせている。

    • (2) ファンド出資金の流用等

      • マル1 収益金を受け取る銀行口座からの資金の流用

        当社代表取締役社長は、平成21年7月28日、当社経理課長に命じ、ファンドの収益金口座に入金されていた約3,000万円を出金させ、同日、これをグループ会社からの借入金の返済に充当し、もって資金の流用を行った。

      • マル2 配当金の支払いが出資金を原資としていることを知りながら行った私募の取扱い

        当社は、平成21年1月13日に総額339,130円、同年3月10日に総額985,903円、同年5月11日に総額1,768,484円、同年7月10日に総額3,970,862円をそれぞれファンドの配当金として出資者に支払っている(別途、管理手数料を控除)が、これらの時点において、リース料等の入金は一切なく、これらの配当金は、投資者の出資金を原資とし、出資金の運用による収益を原資としていなかった。

        当社は、ファンドの配当金の支払いが、投資者の出資金を原資としていることを知りながら私募の取扱いを行った。

    • (3) 誤解を生じさせる広告及び表示等

      • マル1 誇大広告の表示

        当社は、当社ホームページ上で、上記4回の配当金の支払いについて、「配当実績」と表示した上で「各出資額に応じた予定配当率で償還させていただきました。」と表示し、配当金の原資が投資者の出資金であるにもかかわらず、あたかも運用が順調に行われた結果、収益が発生し、予定どおりに配当されたかのような表示を行っており、著しく投資者を誤認させるような表示となっている。

      • マル2 説明資料等における虚偽の表示

        当社がファンドの投資者への説明資料に使用しているパンフレットには「ファンドの収益源となっているリース料は年間包括契約のため、採掘量などには左右されません。契約した時点でリース料は決まっているので配当の予測も可能です。実際、今年の1月と3月には予定通りの配当を行いました。」と表示されており、投資者へ「配当金」と称して支払った金銭は、あたかもファンドに重機等のリース料として収益が発生し、当該収益が支払われたかのような虚偽の表示となっており、投資者の判断を誤らせるような表示となっている。

        さらに、当社は、上記4回の配当金の支払いに際し、当該計算期間中にリース事業によるリース料収入の入金が全くないにもかかわらず、あたかもリース料収入に基づく配当を行っているかのように装うため、当該計算期間におけるリース料収入及びそこから控除する費用の計算を記載した「匿名組合損益計算書」に、シミュレーションによって算出した虚偽の「リース料収入」の金額を記入し、各投資者に送付した。

    • (4) 変更登録前の私募の取扱い

      当社は、当社が金融商品取引業の業務の種別について、変更登録を受ける前の平成20年7月頃、2名の投資者に対してファンドに係る私募の取扱いを行い、ファンド出資金及び手数料として合計約400万円を受け入れた。

    • (5) 事実と異なる変更登録申請書の記載

      第二種金融商品取引業の変更登録を受けるに当たって、当社が、関東財務局長に提出した変更登録申請書によると、第二種金融商品取引業に係るコンプライアンス業務を担当する部署として管理部長を置く旨の記載があるが、変更登録申請の前後を通じて、管理部長として変更登録申請に記載された人物が当社に勤務していた実態はなく、また、当初から同人を当社社員として勤務させる予定もなかった。

    上記(1)の行為は、自己の名義をもって、他人に金融商品取引業を行わせたものと認められ、金融商品取引法(以下「法」という。)第36条の3に違反する。

    同(2)マル1の行為は、ファンド運用収益として入金された金銭の流用行為であり、また、マル2の行為は、配当金の支払いが出資金を原資としていることを知りながら私募の取扱いを行ったものであり、何れも情状として極めて悪質なものであると認められることから、これらの行為は、金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いときとして、法第52条第1項第9号に該当する。

    同(3)マル1の行為は、ホームページ上において「利益の見込み」につき「著しく人を誤認させるような表示」であると認められ、法第37条第2項に違反する。

    また、同(3)マル2の説明資料等で投資者に対して虚偽の表示をする行為は、法第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に該当する。

    同(4)の行為は、業務の種別において変更登録を受ける前に第二種金融商品取引業を行うものであり、法第31条第4項に違反する。

    同(5)の行為は、登録申請書に記載を求められている使用人の虚偽記載をもって変更登録を受けており、法第52条第1項第5号に該当する。

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