平成21年9月29日

証券取引等監視委員会

北辰物産株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が北辰物産株式会社(東京都中央区、資本金1,600百万円、役職員71名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者及び当該金融商品取引業者の使用人に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分及びその他の適切な措置を講ずるよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1) 取引一任勘定取引の受託・執行

      北辰物産株式会社(以下「当社」という。)FX事業部長(当時。以下「A部長」という。)は、その業務に関し、当社において外国為替証拠金取引を行っていた顧客(以下「顧客B」という。)との間で、当該取引の受託に関して、取引対象通貨、取引の数量、売買の別及び既に成立している取引を期限前に決済すること等について顧客の同意を得ないで定めることができる旨の合意をし(取引一任勘定取引の受託)、当該顧客名義の口座において平成19年3月6日から同年9月4日までの間、C社名義の口座(顧客Bの仮名口座)において同月20日から平成20年3月5日までの間、それぞれ取引一任勘定取引(以下「本件一任取引」という。)を行った(約定件数合計約1,200件、売買手数料を含む損失合計約3,146万円)。

      当該金融商品取引業者及びその使用人が行った上記の行為のうち、平成19年9月29日以前の行為については、取引一任勘定取引の受託を禁止する廃止前の金融先物取引法第76条第3号に違反し、同月30日以降の行為については、投資運用業を行うにつき金融商品取引法第31条第4項に基づく変更登録を受けていないにもかかわらず、当該投資運用業である取引一任勘定取引に係る業務を行ったものであり、同法第29条に違反するものと認められる。

    • (2) 取引一任勘定取引により顧客に生じた損失を補てんする行為

      当社は、平成20年3月5日、顧客Bから、上記(1)の取引一任勘定取引により損失が発生したとして当該損失を補てんするよう要求を受け、当社代表取締役社長(当時。以下同じ。)及び常務取締役等は、当該顧客との間で当該損失の補てんに係る金額・支払時期等に関する交渉を行うなどし、同月28日ころ、当該損失補てんの要求を受け入れることとし、当該顧客に取引損金及び慰謝料等として31,972,501円を支払うことを決め、A部長に対して同額を支払うよう指示した。

      A部長は、上記指示に従い、同年4月3日、本件一任取引により生じた顧客Bの損失を補てんするため、当該顧客に対し、31,972,501円を支払った。

      当該金融商品取引業者及びその使用人が行った上記の行為は、損失補てんの実行等を禁止した金融商品取引法第39条第1項第3号に違反するものと認められる。

    • (3) 検査忌避

      今回臨店検査中において、当社代表取締役社長は、当社が上記(2)の損失補てんに会社として関与していない旨の事実に反する供述をするようA部長に指示し、また、自らもその旨の虚偽供述を繰り返した。

      さらにそのような中で、代表取締役社長は、平成21年3月26日、検査官から上記(1)及び(2)の法令違反行為に係る関係書類を提出するよう指示を受け、その旨を当社役職員に指示したところ、常務取締役から、当該法令違反行為に係る重要な証拠書類である和解書や領収書等の書類5点が保管されていることの報告を受けた。当該報告を受けた代表取締役社長は、上記虚偽供述の内容に相反しない書類1点だけを提出することとし、その他の書類4点については「常務取締役に任せる」旨の指示をしたところ、当該指示を受けた常務取締役は、そのうち3点の書類をシュレッダーにより裁断した。

      当該金融商品取引業者が行った上記の行為は、金融商品取引法第198条の6第11号の「検査を忌避した」行為に該当するものと認められる。

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