平成21年11月10日
証券取引等監視委員会
株式会社アジアン・ブルーに対する検査結果に基づく勧告について
1.勧告の内容
東海財務局長が株式会社アジアン・ブルー(愛知県名古屋市、資本金22百万円、役職員3名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
○ 無登録による有価証券の売買及びその媒介行為並びに投資助言業に係る顧客を相手方とした有価証券の売買の媒介行為
株式会社アジアン・ブルー(以下「当社」という。)は、前々回検査(検査実施日:平成16年3月24日)において、無登録の証券業(有価証券の売買の媒介)及び投資顧問業に係る顧客を相手方とした証券取引行為等の法令違反行為が認められ、同年7月16日に当局から6か月間の業務停止命令(同年8月2日から同17年2月1日)及び業務改善命令を受けている。
しかしながら、今回検査において、当社は、上記業務停止期間満了後、依然として証券業(平成19年9月30日以降においては、第一種金融商品取引業)の登録を受けていないにもかかわらず、以下のとおり、同様の行為を反復継続して行っていることが認められた。
(1) 未公開株式の売買の媒介
当社の取締役会長(当時。平成20年1月15日以降、代表取締役社長。以下「当社社長」という。)は、上記業務停止期間満了後、著しく悪化していた当社の資金繰りを早急に改善させる策として、前々回検査で指摘を受けた未公開会社(以下「A社」という。)株式の売買の媒介業務を再開した。これにより、当社は、平成17年3月頃から同20年1月頃までの間、約90名の先に対しA社株式の売買の勧誘を行い、少なくとも投資助言業に係る顧客5名を含む11名の一般投資家に対し延べ19回にわたり合計約90株を取得させ、A社社長から媒介手数料を収受していた。
また、当社は、平成20年10月から同21年7月までの間、少なくとも9名の一般投資家に対して延べ16回にわたり、A社社長が同20年3月に設立したB社株式の売買を勧誘し、このうち5名に対して延べ12回にわたり合計約311株を取得させ、A社社長から媒介手数料を収受していた。
(2) 未公開株式の売買
当社社長は、平成20年初旬頃、当社元社員から売買可能な未公開株式(以下「C社株式」という。)があることを聞きつけ、A社株式の媒介手数料に代わる収益源を確保するため、C社株式を当社が一旦買い付けて、一般投資家に広く転売することで売買差益を得ることを計画した。これにより当社は、平成20年7月頃、C社株式を所有する者2名から合計34株を購入し、1名の一般投資家に対して2株を売却し、売買差益を得ていた。
当社が行った上記(1)及び(2)の行為は、金融商品取引法第28条第1項に掲げる「第一種金融商品取引業」(同法第2条第8項第1号に掲げる「有価証券の売買」及び同項第2号に掲げる「有価証券の売買の媒介」を業として行うこと)に該当するものであり、当社が「第一種金融商品取引業」の登録を受けずに当該業務を行うことは、同法第29条(ただし、平成19年9月29日以前の行為については、証券取引法第28条)に違反するものと認められる。
また、当社が行った上記(1)のうち、投資助言業に係る顧客を相手方とした有価証券の売買の媒介行為は、金融商品取引法第41条の3(ただし、平成19年9月29日以前の行為については、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律第18条)に違反するものと認められる。