平成22年4月16日

証券取引等監視委員会

トップゲイン株式会社に対する検査結果に基づく勧告及び株式会社ハヤシファンドマネジメントに対する検査結果について

  • I .トップゲイン株式会社に対する検査結果に基づく勧告

    1.勧告の内容

    関東財務局長がトップゲイン株式会社(東京都中央区、資本金10百万円、役職員7名、第二種金融商品取引業登録、適格機関投資家等特例業務届出者)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1) ファンド運用に係る無登録営業

      トップゲイン株式会社(以下「当社」という。)は、自らを営業者とする5本の匿名組合出資契約(以下「ファンド」という。)の持分の私募を行い、これらのファンドの有価証券による運用を適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として行っている。

      このうち、3本のファンドについては、親会社である株式会社ハヤシファンドマネジメント(以下「ハヤシ社」という。)が運営する集団投資スキーム(以下「ハヤシファンド」という。)の持分のみを取得することにより運用されていた。これにより、当該3ファンドは、同一の出資対象事業に投資されていることとなるため、当該3ファンド全体で、特例業務の要件である適格機関投資家1名以上及び適格機関投資家以外の者49名以下からの出資でなければならないところ、適格機関投資家以外の者からの出資が49名を超えており、当社が行う当該3ファンドに係る特例業務としての運用は、特例業務の要件を満たすことなく行われていた。

      上記のとおり、当社が行った行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第28条第4項に規定する「投資運用業」に該当し、当社が金商法第31条第4項に基づく変更登録を受けることなく当該業務を行うことは、同法第29条に違反するものと認められる。

    • (2) 無登録業者の運営するファンドへの出資等

      当社は、ハヤシ社より委託を受け、ハヤシ社を営業者とするファンドの持分の私募の取扱いのほか、自らを営業者とする5本のファンドの持分の私募を行っているが、うち4本のファンド(以下「当該4ファンド」という。)については、ハヤシファンドの持分を取得することにより運用されていた。

      しかしながら、当該4ファンドは適格機関投資家以外の者を匿名組合員とする匿名組合契約であり、ハヤシ社が当該4ファンドの営業者である当社に対して行ったハヤシファンドの私募は、金商法第63条第1項第1号ロの規定により特例業務には該当せず、また、ハヤシ社が第二種金融商品取引業の登録を受けていないため、ハヤシ社は、無登録で第二種金融商品取引業を行っている状況にあると認められる。

      上記のとおり、当社は、当社の行為によってハヤシ社を金融商品取引業の登録が必要な状況に置きながら、そのような状況を認識することなく、ハヤシ社への出資及びハヤシ社の委託によるファンドの私募の取扱いを繰り返しており、このような当社の業務の運営の状況は、金商法第51条に規定する「当社の業務の運営に関し、公益及び投資者保護のため必要な改善を図る必要がある業務の状況」にあると認められる。

    • (3) 金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して、虚偽のことを告げる行為

      当社は、当該4ファンドの持分の私募及びハヤシ社を営業者とするファンドの持分の私募の取扱いを行っている。

      当社は、これらのファンドの持分の取得勧誘において、ハヤシファンドの運用報告書等を用いて勧誘を行っていたが、当該運用報告書等には、「ファンド・オブ・ファンズで運用し、安定した運用益を得られている」等と表示されているものの、実際には主に貸付により運用されているなど、事実と著しく相違するものとなっていた。

      当社には、ハヤシ社に対し、ハヤシファンドの運用内容に係る情報提供を要請する機会が多数あったにもかかわらず、これを怠り、虚偽の表示を看過したことについては、重大な過失があるものと認められる。

      当社は、このような状況の下、これらのファンドの取得勧誘に際して、運用報告書等の投資勧誘資料を用い、ファンドの運用方法及び実績という投資者の投資判断に影響を及ぼす重要な事項につき、虚偽の告知を行った。

      上記のとおり、当社が行った行為は、金商法第38条第1号に規定する「金融商品取引契約の締結等に関して虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。


  • II .株式会社ハヤシファンドマネジメントに対する検査結果

    1.検査結果の内容

    当社に対する検査に伴い、当社が営業者となっている匿名組合の投資先である株式会社ハヤシファンドマネジメント(東京都中央区、資本金25百万円、役職員4名、適格機関投資家等特例業務届出者)を検査した結果、下記のとおり、金融商品取引法に係る重大な法令違反の事実が認められた。

  • 2.事実関係

    • (1) 第二種金融商品取引業の無登録営業

      トップゲイン株式会社に係る勧告 I .2.(2)にあるとおり、ハヤシ社が運営するハヤシファンドは、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とする匿名組合契約の営業者(当社)から匿名組合出資を受けていることから、ハヤシ社が特例業務として当社に対して行ったハヤシファンドの持分の私募は、金商法第63条第1項第1号ロの規定により特例業務の要件を満たすことなく行われていたものである。

      上記のとおり、ハヤシ社が行った行為は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、ハヤシ社が同法第29条に基づく登録を受けることなく当該業務を行うことは、同条に違反するものと認められる。

    • (2) 運用報告書等に係る虚偽告知

      ハヤシ社は、ハヤシ社を営業者としハヤシファンドへ出資するファンドの持分の私募を行っており、取得勧誘の資料として、ハヤシファンドの運用報告書等をホームページに掲載するとともに、当社による取得勧誘に際し、当該運用報告書等を使用させている。

      ハヤシ社は、当該運用報告書等に「ファンド・オブ・ファンズで運用し、安定した運用益を得られている」等と表示しているものの、実際には主に貸付により運用しているなど、これらの表示は事実と著しく相違するものとなっていた。

      上記のとおり、ハヤシ社が行った行為は、金商法第63条第4項に基づき金融商品取引業者とみなして適用する同法第38条第1号に規定する「金融商品取引契約の締結等に関して虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

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