平成22年8月27日
証券取引等監視委員会
ジェイオーグループホールディングス株式会社との契約締結者らによる内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、ジェイオーグループホールディングス株式会社との契約締結者らによる内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
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2.法令違反の事実関係
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(1)課徴金納付命令対象者[1]、[2]について
課徴金納付命令対象者[1]、[2]は、ジェイオーグループホールディングス株式会社(以下「JOG社」という。)が平成21年1月23日に公表した無担保転換社債型新株予約権付社債(以下「本件CB」という。)の発行による第三者割当増資(払込予定額3億円)(以下「本件増資」という。)について、その実質的出資者として、JOG社との間で本件CBに関する総額引受契約の締結の交渉をしていた者であるが、同契約の締結の交渉に関し、JOG社の業務執行を決定する機関が、同社の第三者割当による募集新株予約権を引き受ける者の募集を行うことを決定した事実(重要事実第1)を知りながら、この事実が公表された平成21年1月23日午後6時ころより前の、
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平成20年10月21日から平成21年1月23日午後零時45分ころまでの間、JOG社の株式合計1万4000株を、自己の計算において買付価額79万円で買い付けたほか、平成21年1月22日に、JOG社の株式合計3000株を、自己の計算において売付価額24万9000円で売り付け、(課徴金納付命令対象者[1])
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平成21年1月20日に、JOG社の株式合計7万株を、自己の計算において買付価額409万7600円で買い付け(課徴金納付命令対象者[2])
たものである。
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(2)課徴金納付命令対象者[3]、[4]について
課徴金納付命令対象者[3]、[4]は、本件増資について、その実質的出資者として、JOG社との間で本件CBに関する総額引受契約を締結した者であるが、同契約の履行に関し、本件CBの払込期日に払込予定額3億円が払い込まれず、本件CBが失権となる蓋然性が高まり、JOG社として、かねてより会計監査人から指摘を受けていた継続企業の前提に関する重要な疑義を解消するための財務基盤を充実させるのに必要な資金等を確保するのが著しく困難となった旨のJOG社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす事実(重要事実第2)を知りながら、この事実が公表された平成21年2月20日午後10時56分ころより前の、
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平成21年2月20日午後2時57分ころから同日午後3時7分ころまでの間、JOG社の株式合計21万6500株を、自己の計算において売付価額758万6600円で売り付け、(課徴金納付命令対象者[3])
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平成21年2月19日に、JOG社の株式合計3万400株を、自己の計算において売付価額112万4800円で売り付け(課徴金納付命令対象者[4])
たものである。
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(3)課徴金納付命令対象者[5]について
課徴金納付命令対象者[5]は、
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ア 本件増資について、JOG社との間で本件CBに関する総額引受契約の締結の交渉をしていた実質的出資者の代理人から、同人が同契約の締結の交渉に関し知った、重要事実第1の伝達を受けながら、この事実が公表された平成21年1月23日午後6時ころより前の同日午後1時10分ころから午後2時52分ころまでの間、JOG社の株式合計16万株を、自己の計算において買付価額968万4700円で買い付け
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イ 本件増資について、JOG社との間で本件CBに関する総額引受契約を締結した実質的出資者の代理人から、同人が同契約の履行に関し知った、重要事実第2の伝達を受けながら、この事実が公表された平成21年2月20日午後10時56分ころより前の同日午後零時47分ころから午後2時56分ころまでの間、JOG社の株式合計16万株を、自己の計算において売付価額655万1900円で売り付け
たものである。
上記5名が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項及び金融商品取引法(平成20年法律第65号による改正前のもの。以下「旧金融商品取引法」という。)第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、自己の計算において同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
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3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法又は旧金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金額は下記のとおり。
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課徴金納付命令対象者[1]46万円
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課徴金納付命令対象者[2]234万円
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課徴金納付命令対象者[3]520万円
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課徴金納付命令対象者[4]79万円
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課徴金納付命令対象者[5]982万円
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
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(別紙)
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○ 課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)-(買付価格)×(買付株数)
及び、
(売付価額)×(売付株数)-(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)
となる。
(注)金融商品取引法の施行日である平成20年12月12日よりも前に行われた売買については、旧金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された翌日の終値等)×(買付株数)-(買付価額)×(買付株数)
及び
(売付価額)×(売付株数)-(重要事実が公表された翌日の終値等)×(売付株数)
となる。
したがって、JOG社の株価について、重要事実第1に関して、
公表後2週間における最も高い価格は、92円(平成21年2月3日)
公表後2週間における最も低い価格は、55円(平成21年1月26日)
また、JOG社の株価について、重要事実第2に関して、
公表後2週間における最も低い価格は、11円(平成21年3月2日)
また、重要事実第1の公表日(平成21年1月23日)の翌日が市場休業日であるため、以後直近のJOG社の株価である平成21年1月26日の始値は、55円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
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課徴金納付命令対象者[1]
金融商品取引法の施行日である平成20年12月12日以降に行われた売買について
(92円×11,000株)- 買付価額627,000円(注1)=385,000円
売付価額249,000円(83円×3,000株)-(55円×3,000株)=84,000円
385,000円+84,000円=469,000円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、46万円
金融商品取引法の施行日である平成20年12月12日よりも前に行われた買付けについて
(55円×3,000株)- 買付価額163,000円(注2)=2,000円
⇒課徴金の額は1万円未満であるため、0円
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課徴金納付命令対象者[2]
(92円×70,000株)- 買付価額4,097,600円(注3)=2,342,400円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、234万円
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課徴金納付命令対象者[3]
売付価額7,586,600円(注4)-(11円×216,500株)=5,205,100円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、520万円
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課徴金納付命令対象者[4]
売付価額1,124,800円(37円×30,400株)-(11円×30,400株)=790,400円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、79万円
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課徴金納付命令対象者[5]
(92円×160,000株)- 買付価額9,684,700円(注5)=5,035,300円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、503万円
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売付価額6,551,900円(注6)-(11円×160,000株)=4,791,900円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、479万円
(注1)買付価額は、 | ┌ │ │ └ |
45円×1,000株 | 56円×2,000株 | ┐ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
58円×5,000株 | 60円×3,000株 |
(注2)買付価額は、 | ┌ │ │ └ |
45円×1,000株 | 55円×1,000株 | ┐ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
63円×1,000株 |
(注3)買付価額は、 | ┌ │ │ └ |
57円×30,000株 | 59円×20,000株 | ┐ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
60円×12,400株 | 61円× 7,600株 |
(注4)売付価額は、 | ┌ │ │ │ └ |
33円×52,100株 | 34円×20,200株 | ┐ │ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
35円×53,400株 | 36円×49,200株 | |||||
37円×40,500株 | 38円× 1,100株 |
(注5)買付価額は、 | ┌ │ │ └ |
59円× 900株 | 60円×73,500株 | ┐ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
61円×85,600株 |
(注6)売付価額は、 | ┌ │ │ └ |
38円×50,000株 | 42円×78,100株 | ┐ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
43円×31,900株 |