平成22年9月10日

証券取引等監視委員会

東海東京証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が東海東京証券株式会社(愛知県名古屋市、資本金60億円、役職員2,263名)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 東海東京証券株式会社(以下「当社」という。)に臨店検査中、当社に対する顧客からの問い合わせにより、当社A営業員が、10年以上前から特定の顧客に対する損失補てんや利回り保証等を継続的に行い、その後、その原資を賄うために他の顧客の資産を無断で売却して現金を不正に出金するなどしていた疑いが発覚した。

      その全容については、現在当社において社内調査が行われているところであるが、今回検査においては、当社の金融商品事故等防止態勢について検証したところ、以下の事実が認められた。

    • (1) 不正行為や顧客資産の異常に対するチェック機能が、形式化、形骸化していたこと

      マル1 A営業員は、平成19年8月から同22年5月までの間、担当顧客16名の資産を無断売却する等し、銀行等に設置された自動現金預入払出機(以下「ATM」という。)から数百回にわたり合計約6億3,000万円を出金していた。その出金の大半は、ATMからの1日の出金限度額である99万9,000円の出金を連日繰り返し、短期間のうちに顧客資産を大きく減少させるというものであったが、内部管理責任者等はこの状況を把握していなかった。

      また、A営業員は、同人が利回り保証等を行っていたとする担当顧客1名の口座に、平成19年10月から同22年5月までの間、ATMから約1,000回にわたり合計約1億円を入金していた。その入金の大半は、ATMからの1回の入金限度額である10万円の入金を1日のうちに何度も行い、多い日で1日35回・350万円に及んでいたが、内部管理責任者は、この状況を把握しながら、特段の調査を行っていなかった。

    • マル2 A営業員の担当顧客については、これまで度々、取引を注視すべき顧客を抽出するアテンション制度や社内検査において、短期回転売買、取引収支の大幅不振、遠隔地顧客等の問題が指摘されている。特に、アテンション口座指摘時の検証において、内部管理責任者は、A営業員の営業活動につき、(ア)訪問受注が多く、通話記録が極端に少ない顧客や若干不自然と思われる入出金も散見される、(イ)支店在籍期間が長く、担当顧客との付き合いも長いなどの問題点を度々指摘していたが、特段の調査は行われていない。

    • (2) 金融商品事故等に対する再発防止策の策定が不十分であること等

      マル1 今回検査対象期間中(平成19年11月3日~同22年5月14日)に当社において発覚した解雇相当の金融商品事故等のうち、無断売買を含む事案については一定の再発防止策がとられている。

      しかしながら、その他、損失補てん等の悪質な違法行為事案で、発覚までに長期間を要しているものもあるが、当社は事案を認識していながら、具体的な原因究明や内部牽制機能の点検・強化等を行っていなかった。

    • マル2 当社は、採用営業店から異動せず、あるいは異動範囲が一定の地域内に限定される職系列を設けている。

      この制度は、同一営業店での勤務が長期化することが多くなり、顧客との関係が長期間継続する上、金融商品事故等の防止の観点からは、営業内容の検証の機会が限られるものとなっている。今回検査対象期間中にも同一営業店に長期間在籍する上記職系列による金融商品事故等が発覚しており、A営業員も上記職系列として長期間同一営業店に在籍していた。

      この点、当社は、上記職系列や同一営業店に長期間在籍する職員を対象に、重点的なモニタリングを実施していないなど、職員の長期在籍に係る不正リスクに対する措置を講じていない。

    • このような当社における金融商品事故等防止態勢の状況は、金融商品取引法第51条に規定する金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため改善を図る必要がある状況に該当するものと認められる。

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