平成22年9月28日
証券取引等監視委員会
マルコ株式会社との契約締結者からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、マルコ株式会社との契約締結者からの情報受領者による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者は、マルコ株式会社(以下「マルコ」という。)と業務提供サービス基本契約を締結している会社の役員から、同人が同契約の履行に関し知った、マルコが伊藤忠商事株式会社と業務上の提携を行うことを決定した事実の伝達を受け、この事実が公表された平成21年4月20日午後3時30分ころより前の同日午前9時ころから午後3時ころまでの間に、自己の計算において、マルコの株式合計9万3000株を買付価額1050万900円で買い付けたものである。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条・・・第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、754万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○ 課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間におけるマルコの最も高い株価は、平成21年4月22日の194円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(194円×93,000株)
-買付価額10,500,900円(注)=7,541,100円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、754万円
(注)買付価額は、 | ┌ │ │ │ │ │ │ │ │ └ |
106円× 1,300株 | 107円× 100株 | ┐ │ │ │ │ │ │ │ │ ┘ |
の合計額である。 | |
108円× 1,300株 | 109円×4,400株 | |||||
110円× 7,000株 | 111円×9,300株 | |||||
112円× 1,600株 | 113円×1,100株 | |||||
114円×66,900株 |
(参考条文)
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金融商品取引法
(会社関係者に対する禁止行為等に違反した者に対する課徴金納付命令)
第百七十五条第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のうち二以上の号に掲げる場合に該当するときは、当該二以上の号に定める額の合計額)に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
一 (略)
二 第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の買付け等(同条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
-
イ 当該有価証券の買付け等について業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も高い価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額
ロ 当該有価証券の買付け等について当該有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
三 (略)
2~5 (略)
6 第一項第二号イの「業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も高い価格」とは、第百六十六条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた時から二週間を経過するまでの間の各日における第六十七条の十九又は第百三十条に規定する最高の価格(当該価格がない場合は、これに相当するものとして内閣府令で定めるものをいい、当該重要事実の公表がされた日にあつては、内閣府令で定める額とする。)のうち最も高い価格をいう。
7~12 (略)
-
-
(課徴金の額の端数計算等)
第百七十六条 (略)
2 第百七十二条から前条までの規定により計算した課徴金の額に一万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
3・4 (略)
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(会社関係者の禁止行為)
第百六十六条次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第五号から第八号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け又はデリバティブ取引(以下この条において「売買等」という。)をしてはならない。当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後一年以内のものについても、同様とする。
一~三 (略)
四 当該上場会社等と契約を締結している者又は締結の交渉をしている者(その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)であつて、当該上場会社等の役員等以外のもの 当該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知つたとき。
五 (略)
2 前項に規定する業務等に関する重要事実とは、次に掲げる事実(第一号、第二号、第五号及び第六号に掲げる事実にあつては、投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして内閣府令で定める基準に該当するものを除く。)をいう。
一 当該上場会社等の業務執行を決定する機関が次に掲げる事項を行うことについての決定をしたこと又は当該機関が当該決定(公表がされたものに限る。)に係る事項を行わないことを決定したこと。
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イ~カ (略)
ヨ 業務上の提携その他のイからカまでに掲げる事項に準ずる事項として政令で定める事項
二~八 (略)
3 会社関係者(第一項後段に規定する者を含む。以下この項において同じ。)から当該会社関係者が第一項各号に定めるところにより知つた同項に規定する業務等に関する重要事実の伝達を受けた者(同項各号に掲げる者であつて、当該各号に定めるところにより当該業務等に関する重要事実を知つたものを除く。)又は職務上当該伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等であつて、その者の職務に関し当該業務等に関する重要事実を知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をしてはならない。
4~6 (略)
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金融商品取引法施行令
(上場会社等の業務執行を決定する機関の決定に係る重要事実)
第二十八条法第百六十六条第二項第一号ヨに規定する政令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 業務上の提携又は業務上の提携の解消
二~十一 (略)