平成22年11月17日

証券取引等監視委員会

アルファクスフード事案の特色(平成22年10月22日勧告)

本件は、(株)アルファクス・フード・システムの役員から、「自己株式の取得を行うことの決定」という重要事実の伝達を受けた者(違反行為者)が、当該重要事実の公表前に、違反行為者の親族名義口座で親族の計算において、(株)アルファクス・フード・システムの株式の買付けを行っていたものである。

他人の証券口座を借用して株の売買を行ういわゆる借名取引案件は、従来より存在するが、今回の案件は、違反行為者が自己の資金を用いたり、自己の利益を図ったりする借名取引案件ではなく、本件の違反行為者は、親族の資金で親族の証券口座で親族のために売買を行っていたものである。

金融商品取引法においては、違反行為者本人の「自己の計算における売買」が、課徴金を課すうえでの要件であるが、平成20年の法改正により、例えば本件のように、近親者等のために行った売買も、違反行為者本人の自己の計算において行った売買とみなされ、同人に課徴金が課せられることになる。

(参考条文)金融商品取引法

第175条

第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。

一~三 (略)

2~9 (略)

10 第1項の場合において、次の各号に掲げる者の計算において第166条第1項に規定する売買等をした者は、自己の計算において当該売買等をしたものとみなして、第1項の規定を適用する。

一 (略)

二 当該売買等をした者と生計を一にする者その他の当該売買等をした者と特殊の関係にある者として内閣府令で定める者

11・12 (略)

(参考条文)金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令

第1条の23 (略)

2 法175条第10項第2号に規定する内閣府令で定める者は、次の各号に掲げる者とする。

一 当該売買等をした者(個人に限る。)の親族

二 当該売買等をした者(個人に限る。)と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

三 当該売買等をした者の役員等

四 前三号に掲げる者以外の者で当該売買等をした者(個人に限る。)から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者

五 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族

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