平成22年11月26日

証券取引等監視委員会

株式会社生物化学研究所の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への緊急差止命令の申立て(同法第192条第1項)について

  • 1.概要

    証券取引等監視委員会は、本日、金融商品取引法第192条第1項の規定に基づき、甲府地方裁判所に対し、株式会社生物化学研究所(山梨県中央市、資本金5,842万5,000円)を被申立人とする金融商品取引法違反行為(無届けで、有価証券の募集を行うこと等)の禁止等を命ずるよう申立てを行った。

  • 2.申立ての内容

    被申立人は、平成22年2月ころから同年6月ころまでの間、7回にわたって自社の株式及び新株予約権(以下「株式等」という。)の発行を行い、金融商品取引業の登録等がない株式会社大経と連携して株式等の取得の勧誘を行った結果、約100名の投資家に株式等を取得させていた(株式の払込金額約1億円、新株予約権の行使に際して払い込むべき金額約2億2,000万円)。また、被申立人は、平成22年11月末発行予定の株式について投資家に対する取得の勧誘を行っていた。

    被申立人は、上記各発行のいずれについても有価証券届出書を提出していない。しかしながら、上記7回のうち6回の発行に係る株式等及び同年11月末発行予定の株式に関する取得の勧誘は、いずれも、有価証券の募集に該当し、かつ、金融商品取引法第4条第1項本文の規定の適用を受けることから、有価証券届出書を提出しなければ行ってはならないものである。

    このような被申立人の行為は、金融商品取引法第4条第1項本文等に違反するものであり、また、被申立人は、当該違反行為を今後も行う蓋然性が高い。

    したがって、上記のような被申立人の金融商品取引法違反行為の禁止・停止を命じる旨の裁判を求める。


違反行為の禁止・停止の申立て

金融商品取引法(抄)

(募集又は売出しの届出)

第四条  有価証券の募集(特定組織再編成発行手続を含む。第十三条及び第十五条第二項から第六項までを除き、以下この章及び次章において同じ。)又は有価証券の売出し(次項に規定する適格機関投資家取得有価証券一般勧誘及び第三項に規定する特定投資家等取得有価証券一般勧誘に該当するものを除き、特定組織再編成交付手続を含む。以下この項において同じ。)は、発行者が当該有価証券の募集又は売出しに関し内閣総理大臣に届出をしているものでなければ、することができない。ただし、次の各号のいずれかに該当するものについては、この限りでない。

 有価証券の募集又は売出しの相手方が当該有価証券に係る次条第一項各号に掲げる事項に関する情報を既に取得し、又は容易に取得することができる場合として政令で定める場合における当該有価証券の募集又は売出し

 有価証券の募集又は売出しに係る組織再編成発行手続又は組織再編成交付手続のうち、次に掲げる場合のいずれかに該当するものがある場合における当該有価証券の募集又は売出し(前号に掲げるものを除く。)

 組織再編成対象会社が発行者である株券(新株予約権証券その他の政令で定める有価証券を含む。)に関して開示が行われている場合に該当しない場合

 組織再編成発行手続に係る新たに発行される有価証券又は組織再編成交付手続に係る既に発行された有価証券に関して開示が行われている場合

 その有価証券に関して開示が行われている場合における当該有価証券の売出し(前二号に掲げるものを除く。)

 外国で既に発行された有価証券又はこれに準ずるものとして政令で定める有価証券の売出し(金融商品取引業者等が行うものに限る。)のうち、国内における当該有価証券に係る売買価格に関する情報を容易に取得することができることその他の政令で定める要件を満たすもの(前三号に掲げるものを除く。)

 発行価額又は売出価額の総額が一億円未満の有価証券の募集又は売出しで内閣府令で定めるもの(前各号に掲げるものを除く。)

(以下、略)

(届出の効力発生前の有価証券の取引禁止及び目論見書の交付)

第十五条  発行者、有価証券の売出しをする者、引受人(適格機関投資家取得有価証券一般勧誘(開示が行われている場合における有価証券に係るものを除く。)又は特定投資家等取得有価証券一般勧誘(開示が行われている場合における有価証券に係るものを除く。)に際し、第二条第六項各号のいずれかを行う者を含む。以下この章において同じ。)、金融商品取引業者、登録金融機関又は金融商品仲介業者は、その募集又は売出しにつき第四条第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定の適用を受ける有価証券については、これらの規定による届出がその効力を生じているのでなければ、これを募集又は売出しにより取得させ、又は売り付けてはならない。

(以下、略)

(審問等に関する調査のための処分)

第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。

 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。

 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。

 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。

 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

(裁判所の禁止又は停止命令)

第百九十二条 裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

 裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

 前二項の事件は、被申立人の住所地の地方裁判所の管轄とする。

 第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)の定めるところによる。

第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~七(略)

 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者

第二百七条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一~二(略)

 第百九十八条第八号又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑

四~六(略)

(以下、略)

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