平成22年12月10日
証券取引等監視委員会
株式会社インベストマスターに対する検査結果に基づく勧告について
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1.勧告の内容
東海財務局長が株式会社インベストマスター(愛知県名古屋市、資本金1百万円、役職員1名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
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2.事実関係
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(1)法定書面の未交付等
株式会社インベストマスター(以下「当社」という。)の業務運営状況について検証したところ、以下の事実が認められた。
イ.金融商品取引契約の締結前に交付する書面について、投資助言・代理業の登録を受けた平成21年1月29日から検査基準日である同22年4月14日までの間に投資顧問契約を締結した全顧客88名(以下「助言顧客」という。)に対して交付していなかった。
ロ.金融商品取引契約の締結時に交付する書面を作成しておらず、助言顧客に対して交付していなかった。
ハ.助言の内容を記載した書面を作成しておらず、保存していなかった。
ニ.記載内容が実際と異なることを認識しながら、「契約件数」が「41件」であるところ「150件」と、「投資助言報酬」が「12,142千円」であるところ「16,000千円」と、虚偽の数値を記載した第1期事業報告書を東海財務局長に提出した。
上記イ.の行為は金融商品取引法第37条の3第1項に、ロ.の行為は同法第37条の4第1項に、ハ.の行為は同法第47条に、ニ.の行為は同法第47条の2にそれぞれ違反するものと認められる。
(2)著しく事実に相違する表示のある広告をする行為
当社は、平成21年6月頃から検査基準日である同22年4月14日までの間、投資顧問契約の締結を勧誘するサイトにおいて広告を行っているが、当サイトを検証したところ、その行う金融商品取引業に関する広告において、以下の表示を行っていた。
イ.当社の投資助言業務の顧客の実績紹介について
投資顧問契約の助言内容の優位性について信憑性を与えるため、顧客として「A氏」の顔写真を掲載した上で、取引履歴画像を添付して、「目標金額の100,000円を達成!」と、「A氏」が実際に取引を行い、あたかも当該顧客が優れた成果を収めたかのようなコメントを表示していた。
しかしながら、「A氏」については、実在する顧客ではないほか、取引履歴画像についても架空のものであった。
ロ.金融商品取引業者の登録について
「3つのスキルがあるから私はこの分野では日本一と言えるのです。その実績を、東海財務局第一号から評価され難しい『認定』を頂くことができました。」と表示し、また、「東海財務局初のインターネット認定スクール」と表示しており、あたかも東海財務局が当社のこれまでの実績を評価し、当社の投資助言業務を認定したかのような表示を行っていた。
ハ.動画映像による表示について
FX取引は、顧客が差し入れた証拠金の額を超える損失が生じる可能性があるにもかかわらず、勧誘する相手方のリスクに対する抵抗を軽減するため、事実と異なる説明になることを認識しながら、「FXへ間違った認識を持つ人が多いですがどう思いますか?」という文言に続けて、「自分の入れた以上のお金を失うことは無い」との文言を表示するとともに、「・・・自分のお金、入れた以上のお金を失うことはまずありませんし・・・」と説明をしていた。
上記イ.については投資助言業務の実績に関する事項について、ロ.については金融商品取引業者の信用に関する事項について、ハ.については金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みについて、著しく事実に相違する表示に該当し、当該行為は、金融商品取引法第37条第2項に違反するものと認められる。
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1.法定書面の未交付等
(1) 契約締結前交付書面の未交付
金融商品取引法
(契約締結前の書面の交付)
第三十七条の三 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。(以下、略)
一~七(略)
2・3(略)
(2) 契約締結時交付書面の未作成・未交付
金融商品取引法
(契約締結時等の書面の交付)
第三十七条の四 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約が成立したときその他内閣府令で定めるときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、書面を作成し、これを顧客に交付しなければならない。(以下、略)
2(略)
(3) 助言の内容を記載した書面の未作成・未保存
金融商品取引法
(業務に関する帳簿書類)
第四十七条 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。以下この款において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
金融商品取引業等に関する内閣府令
(業務に関する帳簿書類)
第百五十七条 (略)
一~十五 (略)
十六 投資助言・代理業を行う者であるときは、次に掲げるもの
イ (略)
ロ 投資顧問契約に基づく助言の内容を記載した書面
ハ・ニ (略)
十七 (略)
2 (略)
(業務に関する帳簿書類)
第百八十一条 法第四十七条の規定により金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。以下この款において同じ。)が作成すべき帳簿書類は、次に掲げるものとする。
一・二 (略)
三 投資助言・代理業を行う者であるときは、第百五十七条第一項第十六号に掲げる帳簿書類
四 (略)
2・3 (略)
(4) 事業報告書の虚偽記載
金融商品取引法
(事業報告書の提出)
第四十七条の二 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
2.著しく事実に相違する表示のある広告を行う行為
金融商品取引法
(広告等の規制)
第三十七条(略)
2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
金融商品取引業等に関する内閣府令
(誇大広告をしてはならない事項)
第七十八条 法第三十七条第二項に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一~四(略)
五 金融商品取引業者等の資力又は信用に関する事項
六 金融商品取引業者等の金融商品取引業(登録金融機関にあっては、登録金融機関業務)の実績に関する事項
七~十一(略)