平成23年4月12日
証券取引等監視委員会
酒井重工業株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、酒井重工業株式に係る相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
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2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者は、酒井重工業株式会社の株式につき、その株価の高値形成を図ろうと企て、平成22年3月16日から同年4月5日までの間、11取引日にわたり、同株式の売買を誘引する目的をもって、あらかじめ前日終値よりも高値に発注していた複数の売り注文に、成行で、あるいは、直前約定値より高値の買い注文を発注して対当させて株価を引き上げたり、直前約定値より高値の売り注文と成行の買い注文を同時期に発注して対当させて株価を引き上げるなどの方法により、同株式合計58万7000株の買付け及び合計58万7000株の売付けを行い、同株式の株価を141円から169円まで引き上げるなどし、自己の計算において、同株式の相場を変動させるべき一連の売買をしたものである。
同人が行った上記の行為は、金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」の違反行為に該当すると認められる。
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3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、438万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○ 課徴金の額の計算方法について
1.金融商品取引法第174条の2第1項に基づき、課徴金の額は、
(1) 売買対当数量(注1)に係るものについて、
(有価証券の売付価額)-(有価証券の買付価額)
と、
(2) 当該違反行為に係る有価証券の買付数量が売付数量を超える場合には、当該超える数量に係るものについて、
(当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券の最高価格のうち最も高い価格×当該超える数量)-(有価証券の買付価額)
との合計額として計算される。
(注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量のうち、いずれか少ない数量をいう。
2.本件における課徴金の額は、下記(1)及び(2)によりそれぞれ算定される額の合計438万1000円。
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、438万円
(1) 当該違反行為に係る売買対当数量は、
(i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、587,000株であり、
(ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、実際の買付け等の数量587,000株に、金融商品取引法第174条の2第8項及び同法施行令第33条の13第1号により、違反行為開始時にその時の価格(142円)で買付け等をしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量96,000株を加えた683,000株である
ことから、587,000株となる。
当該売買対当数量に係るものについて、
売付価額90,239,000円(注2)- 買付価額87,797,000円(注3、4)
=2,442,000円
(注2)売付価額は、 ┌
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└142円×10,000株 143円×20,000株 144円×10,000株
145円×20,000株 146円×48,000株 147円×35,000株
148円×44,000株 149円×21,000株 150円×21,000株
151円×20,000株 152円×33,000株 153円×31,000株
154円×26,000株 155円×10,000株 156円×10,000株
157円×47,000株 158円×24,000株 159円×11,000株
160円×10,000株 161円×12,000株 162円×54,000株
163円×13,000株 164円×16,000株 166円×20,000株
167円×10,000株 168円×10,000株 169円× 1,000株
┐
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┘の合計額である。 (注3)買付価額は、 ┌
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└142円×109,000株 143円×14,000株 144円×17,000株
145円× 28,000株 146円×41,000株 147円×50,000株
148円× 25,000株 149円×30,000株 150円×42,000株
151円× 25,000株 152円×30,000株 153円×24,000株
154円× 26,000株 155円×22,000株 156円×19,000株
157円× 26,000株 158円× 1,000株 160円× 1,000株
161円× 16,000株 162円×41,000株
┐
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┘の合計額である。 (注4)買付価額の算定においては、金融商品取引法施行令第33条の14第5項の規定により、当該違反行為に係る有価証券の買付けのうち最も早い時期に行われたものから順次当該売買対当数量に達するまで割り当てることとなる。
本件においては、違反行為の開始時点において所有しており、金融商品取引法第174条の2第8項及び同法施行令第33条の13第1号の規定により、違反行為の開始時点にその時における価格(142円)で買い付けたものとみなされるもの(みなし買付け)から割り当てられることとなる。
(2) 上記(1)のとおり、当該違反行為に係る有価証券の買付数量が、売付数量を超えることから、
当該超える数量96,000株(683,000株-587,000株)について、
当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券の最高価格のうち最も高い価格(185円)に当該超える数量を乗じて得た額
17,760,000円(185円×96,000株)
-有価証券の買付価額15,821,000円(注5)
=1,939,000円
(注5)買付価額は、 | ┌ │ │ │ │ └ |
161円×20,000株 162円× 2,000株 163円× 4,000株 164円×22,000株 165円× 2,000株 166円×18,000株 167円× 8,000株 168円×17,000株 169円× 3,000株 |
┐ │ │ │ │ ┘ |
の合計額である。 |
