平成23年4月28日

証券取引等監視委員会

ジャパンリアライズ株式会社及びその役職員の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への緊急差止命令の申立て(同法第192条第1項)について

  • 1.申立ての内容等

    証券取引等監視委員会及び北海道財務局長が、ジャパンリアライズ株式会社(北海道札幌市中央区、資本金5,000万円、役職員約20名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項の規定に基づき、札幌地方裁判所に対し、当社並びに当社の代表取締役A及び従業員B(以下「当社ら」という。)を被申立人として金融商品取引法違反行為(無登録で、金商法第2条第2項第5号及び第6号に掲げる権利の募集又は私募を業として行うこと並びに金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券等に対する投資として上記権利を有する者から出資等を受けた金銭等の運用を業として行うこと(ただし、出資金の運用に関する取引を結了する目的の範囲内の行為は除く。))の禁止等を命ずるよう申立てを行った。

  • 2.事実関係

    当社らは、平成20年11月ころから平成23年4月までの間、合計20本の組合契約(以下「JRファンド」という。)の持分の私募を行い、その出資金の運用を行っている。当社らは、集めた出資金を外国為替証拠金取引により運用しており、JRファンドの出資対象事業はいずれも同一である。

    そうすると、JRファンドは、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)の私募の要件として、6か月以内に持分を取得させた適格機関投資家以外の者(以下「一般投資家」という。)は通算49名以下でなければならないところ、遅くとも、平成22年4月上旬以降に行われた私募はいずれもこの要件を満たしていない。また、JRファンドは、特例業務の運用の要件として、JRファンド全体で、適格機関投資家1名以上及び一般投資家49名以下からの出資でなければならないところ、運用中のJRファンドの一般投資家の人数は、遅くとも、平成21年8月末以降、49名を超え、平成23年3月末現在約100名であり、この要件を満たしていない。

    当社らの上記行為は、私募につき、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、運用につき、同条第4項に規定する「投資運用業」に該当し、いずれも、同法第29条に違反するものである。

    また、当社らは、組合契約上、運用益のうち、配当上限額を超えた部分のみ成功報酬として取得するとしているが、実質的には十分な運用益が出ていないにもかかわらず、上限額の配当を行うとともに、出資金の一部を役職員の報酬等に充てていた。さらに、平成23年5月2日を募集開始日とする新たなJRファンドの勧誘を企画している。

    以上からすれば、当社らは、上記違反行為を今後も行う蓋然性が高く、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。


金商法違反行為の禁止・停止の申立て
金商法違反行為の禁止・停止の申立て

参考条文

○適格機関投資家等特例業務

金融商品取引法

(登録)

第二十九条金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

  • 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)

    • (略)

    • 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に対する投資事業に係る匿名組合契約(商法第五百三十五条に規定する匿名組合契約をいう。)で、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とするものの営業者又は営業者になろうとする者

    • イ又はロに掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者

  • 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為

    2 ~ 8(略)

金融商品取引法施行令

(適格機関投資家等特例業務)

第十七条の十二法第六十三条第一項第一号に規定する適格機関投資家以外の者で政令で定めるものは、適格機関投資家以外の者とする。

法第六十三条第一項第一号に規定する政令で定める数は、四十九とする。

法第六十三条第一項第一号に規定する権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める要件に該当するものとする。

  • (略)

  • 当該権利の取得勧誘に応ずる取得者が適格機関投資家等(法第六十三条第一項第一号に規定する適格機関投資家等をいう。)のうち適格機関投資家以外の者(同号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。ロにおいて「一般投資家」という。)である場合 次に掲げるすべての要件

    • (略)

    • 当該権利が有価証券として発行される日以前六月以内に、当該権利と同一種類のものとして内閣府令で定める他の権利(ロにおいて「同種の新規発行権利」という。)が有価証券として発行されている場合にあつては、当該権利の取得勧誘に応じて取得する一般投資家の人数と当該六月以内に発行された同種の新規発行権利の取得勧誘に応じて取得した一般投資家の人数との合計が四十九名以下となること。

(略)

金融商品取引業等に関する内閣府令

(同種の新規発行権利)

第二百三十四条 令第十七条の十二第三項第二号ロに規定する当該権利と同一種類のものとして内閣府令で定める他の権利は、有価証券としての当該権利と発行者及び出資対象事業が同一である有価証券としての権利とする。

○緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法

(審問等に関する調査のための処分)

第百八十七条内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。

  • 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。

  • 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。

  • 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。

  • 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

(裁判所の禁止又は停止命令)

第百九十二条裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

前二項の事件は、被申立人の住所地の地方裁判所の管轄とする。

第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)の定めるところによる。

第百九十八条次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  • 一 ~ 七(略)

  • 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者

第二百七条法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

  • 一 ・二(略)

  • 第百九十八条第八号又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑

  • 四 ~ 六(略)

(以下、略)

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