平成23年7月5日

証券取引等監視委員会

PBAアセットマネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会がPBAアセットマネジメント株式会社(東京都港区、資本金450百万円、役職員6名、投資助言・代理業及び投資運用業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    純財産額が投資運用業を行う金融商品取引業者の政令で定める金額(50百万円)に満たない状況

    (1)純財産額が50百万円を下回る状況

    PBAアセットマネジメント株式会社(以下「当社」という。)は、資産の大半をA社に対する貸付金が占めているため、その貸付金の内容について検証したところ、以下の事実が認められた。

    当社は、平成17年6月に、A社との間で金銭準消費貸借契約(元金180百万円、返済期限は同22年6月30日、連帯保証人は当時のA社代表取締役のB氏。以下「当該契約」という。)を締結しているが、当該契約に係る元金及び利息は、返済期限を超えた検査基準日(平成23年4月15日)までの間、全く返済されていない。

    A社の状況については、当社は、平成21年秋頃の当社株主総会、取締役会において、監査役等より当該契約に係る問題点を指摘されたが、当社経営陣は、既にA社が休眠状態であることを人づてに聞いていたことや、使用人Cからは、貸付金が返済される可能性は低く、不良債権となれば当社の純財産額は金融商品取引法(以下「金商法」という。)第29条の4第1項第5号ロに基づく金融商品取引法施行令第15条の9で定める最低純財産額である50百万円(以下「最低純財産額」という。)を下回る旨の説明を受けたため、A社の返済能力の確認や返済の督促等を行っていなかった。

    今回の検査期間中、当社はB氏と面会し、A社は多額の負債を抱え、事務所もなく休眠状態であること及びB氏には多額の債務があり、定期的な収入、B氏名義の資産がなく、当該契約に係る担保提供や一部返済等の支払いは困難であることを確認している。

    上記のとおり、当該契約に係る元金及び利息の回収が極めて困難な状況にあることから、当該契約に基づく元金及び利息を当社の資産から控除して計算すると、平成23年3月末現在、当社の純財産額は最低純財産額を下回っている。

    (2)経営管理態勢等の不備

    当社の純財産額は、金商法で定める最低純財産額を下回っている状況にあるが、当社のこれまでの対応については、以下の事実が認められた。

    当社の社長は、平成20年10月頃から常勤しておらず、他の非常勤の役員と同様、現状は2か月に1回開催される取締役会に出席するのみであった。また、コンプライアンス室長を兼務している非常勤の取締役は、実質的なコンプライアンス業務を行っていない状況であった。

    そのような状況の下、当社では、使用人2名が実質的な業務運営を行っていたが、以下のとおり極めて不適切な行為が認められた。

    • イ.平成22年10月、当社は、取締役会において、A社及びB氏に対して内容証明郵便により督促状を送付することを決定した。しかし、使用人Cは、純財産額が最低純財産額を下回ることを回避するため、経営陣に報告せず、自らの判断で、督促状を送付しなかった。

    • ロ.平成22年12月、使用人Cは、当該契約に関して契約期間の延長で対応する旨を取締役会で報告したが、その後、正式な議題として取締役会に上程しなかった。

    • ハ.平成23年1月、使用人Cは、純財産額が最低純財産額を下回ることになれば、金融商品取引業の登録取消しは避けられないため、これを逃れようと考え、事前に経営陣に相談しないまま、監督当局である金融庁に対し、「返済期限は平成23年12月30日である」と故意に事実と異なる報告を行ったうえ、契約書の返済期限を改ざんしようとしていた。

    このように、当社は、金融商品取引業の登録取消しに該当しうる状況について積極的に把握、改善することなく、また、使用人の不適切な行為を管理できていないことから、当社の経営管理態勢及び法令等遵守態勢には重大な不備があるものと認められる。

    上記(1)の純財産額が最低純財産額を下回る状況については、金商法第29条の4第1項第5号ロに該当すると認められ、監督上の処分事由を定める金商法第52条第1項第3号に該当するものと認められる。

    上記(2)のとおり、純財産額が最低純財産額を下回ることとなる状況における当社の経営管理態勢及び法令等遵守態勢には重大な不備があるものと認められる。


純財産額が投資運用業を行う金融商品取引業者の政令で定める金額(50百万円)に満たない状況

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 (略)

一~四 (略)

 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合にあつては、次のいずれかに該当する者

 (略)

 純財産額(内閣府令で定めるところにより、資産の合計金額から負債の合計金額を控除して算出した額をいう。)が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者

ハ~へ (略)

 (略)

2~5 (略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一・二 (略)

三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が、第二十九条の四第一項第五号イ又はロに該当することとなつたとき。

四~十一 (略)

2~5 (略)

金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)(抄)

(金融商品取引業者の最低資本金の額等)

第十五条の七 (略)

一・二 (略)

三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合(前二号に掲げる場合を除く。) 五千万円

四 (略)

2 (略)

(金融商品取引業者の最低純財産額)

第十五条の九 法第二十九条の四第一項第五号ロ(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、第十五条の七第一項各号(第四号を除く。)に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

2 (略)

 

サイトマップ

ページの先頭に戻る