平成23年12月9日
証券取引等監視委員会
UBSセキュリティーズ・ジャパン・リミテッドに対する検査結果に基づく勧告について
-
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会がUBSセキュリティーズ・ジャパン・リミテッド(東京都千代田区、資本金600億円、常勤役職員822名、第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
-
2.事実関係
○ユーロ円TIBOR等に係る不適切な行為
当社債券本部金利商品部円レーツトレーダー(当時。以下「Aトレーダー」という。)は、遅くとも平成19年3月頃から、ユーロ円TIBOR(以下「TIBOR」という。)のレートを呈示するユービーエス・エイ・ジー東京支店の職員(以下「呈示担当者」という。)に対し、また、遅くとも平成19年2月頃から、TIBORのレートを呈示する他の銀行の職員(以下、呈示担当者と合わせて「呈示担当者等」という。)に対し、Aトレーダーが行っていた円金利に係るデリバティブ取引に有利になるようTIBORを変動させることを目的として、呈示レートの変更を要請するなどの働きかけを継続的に行っていた。
Aトレーダーが行った当該行為は、TIBOR(3ヵ月)が株式会社東京金融取引所において上場されているユーロ円3ヵ月金利先物の取引対象であり、Aトレーダーが当該取引所において当該先物の取引を行っていたこと及びTIBORは金融機関が資金を調達・運用するときの基準金利となるなど極めて重要な金融指標であることに鑑みれば、著しく不当かつ悪質であり、市場の公正性を損なうおそれがあるなど、公益及び投資者保護上、重大な問題があると認められる。
更に、Aトレーダーは、遅くとも平成19年6月頃から、UBSグループが呈示する円LIBORの呈示レートについても、変更を要請するなどの不適切な働きかけを継続的に行っていた。
また、こうした働きかけを長期間にわたり看過し、当該行為を放置し適切な対応を行っていないなど、当社の内部管理態勢には重大な不備が認められた。
このように、(1)Aトレーダーは、TIBORについて、当社の自己取引として行っていた市場デリバティブ取引のために呈示担当者等に対し働きかけを行ったものであり、当該行為は当社における金融商品取引業に関し行ったものと認められること、(2)当該行為は、市場の公正性を損なうおそれがあるなど、公益及び投資者保護上、著しく不当かつ悪質であると認められること、(3)Aトレーダーは、TIBORだけでなく円LIBORについても働きかけを行っていたこと、(4)当社の内部管理態勢に重大な問題が認められること、から、当社の行為は、金融商品取引法第52条第1項第9号(金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき)に該当するものと認められる。
(参考条文)
○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一~八 (略)
九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。
十・十一 (略)
2~5 (略)