平成23年12月20日

証券取引等監視委員会

K・B・C株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がK・B・C株式会社(東京都新宿区、資本金500千円、役職員8名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    (1)検査忌避

    平成23年10月19日午前9時ころ、関東財務局の検査官が、検査のため、K・B・C株式会社(以下「当社」という。)に臨店し、当社代表取締役(以下「社長」という。)に対し、検査実施の説明を行ったところ、社長は、外出中の職員を含め職員全員の同意が得られるまで当社の執務を行っている事務室(以下、単に「事務室」という。)への立入りはさせられないとして、事務室への立入りを拒否した。同日中、検査官は、再三にわたり、社長に対し、事務室への立入りを要求したが、社長は、事務室への立入りを拒否し続けた。

    このように、当社は、臨店初日に正当な理由なく、事務室への立入りを拒否し、もって、検査を拒んだものである。

    なお、翌日以降検査が開始されたものの、検査官が、社長に対し、投資顧問契約の勧誘の実態把握のヒアリングのため全職員の出社を要請したが、職員は出社せず、社長は、職員の連絡先は管理していないとしており、職員に対するヒアリングを実施することができなかった。

    当社が行った上記の検査を拒む行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第198条の6第11号に該当するものと認められる。

    (2)投資顧問契約の締結に関し偽計を用いる行為等

    • イ.投資顧問契約の締結に関し偽計を用いる行為

      当社職員は、平成22年11月ころ以降、顧客に対し、「外貨の投資」、「外国会社への投資」等と称する投資話を持ち掛けて海外送金をさせるとともに、投資顧問契約の締結の手続をさせていた。当該勧誘において、当社職員は、(イ)顧客に対し、上記投資話について「必ず儲かるからやりませんか。」、「今であれば安くドルが買えて、半年の契約で必ず上がります。」などと著しく利益を強調した投資勧誘をし、これに応じるとした顧客に、当該投資を行う条件として投資顧問契約の締結が必要であるとの根拠のない説明をし、あるいは、(ロ)当該投資の手数料、紹介料等として当社に10万円を支払う必要があるとの虚偽の説明をし、投資顧問契約の締結の手続をさせて報酬10万円を支払わせていた。

      当社が行った上記(イ)及び(ロ)の行為は、投資顧問契約の締結に関し偽計を用いる行為と認められ、金商法第38条の2第1号に該当するものと認められる。

    • ロ.契約締結前交付書面等の不保存等

      当社は、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面について、写しを一切保存していない。

      また、当社は、一部の顧客に対し、上記両書面を交付していない。

      当社が行った上記の行為のうち、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面の不保存は金商法第47条に、契約締結前交付書面の不交付は同法第37条の3第1項に、契約締結時交付書面の不交付は同法第37条の4第1項にそれぞれ違反するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年4月法律第25号)(抄)

(1)検査忌避

(報告の徴取及び検査)

第五十六条の二 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金融商品取引業者等、これと取引をする者、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)がその総株主等の議決権の過半数を保有する銀行等(以下この項において「子特定法人」という。)、当該金融商品取引業者等を子会社(第二十九条の四第三項に規定する子会社をいう。以下この条において同じ。)とする持株会社(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第九条第四項第一号に規定する持株会社をいう。以下この条において同じ。)若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者に対し当該金融商品取引業者等の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料(当該子特定法人にあつては、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し参考となるべき報告又は資料に限る。)の提出を命じ、又は当該職員に当該金融商品取引業者等、当該子特定法人、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件の検査(当該子特定法人にあつては当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し必要な検査に、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社又は当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者にあつては当該金融商品取引業者等の業務又は財産に関し必要な検査に限る。)をさせることができる

2~4 (略)

第百九十八条の六 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~十 (略)

十一 第五十六条の二、第五十七条の十第一項、第五十七条の二十三、第五十七条の二十六第二項、第六十条の十一、第六十三条第八項、第六十六条の二十二、第六十六条の四十五第一項、第七十五条、第七十九条の四、第百三条の四、第百六条の六第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六条の十六、第百六条の二十第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六条の二十七(第百九条において準用する場合を含む。)、第百五十一条(第百五十三条の四において準用する場合を含む。)、第百五十五条の九、第百五十六条の五の四、第百五十六条の五の八、第百五十六条の十五、第百五十六条の二十の十二、第百五十六条の三十四、第百八十五条の五又は第百八十七条第四号の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

十二~十八 (略)

(2)投資顧問契約の締結に関し偽計を用いる行為等

イ.投資顧問契約の締結に関し偽計を用いる行為

(禁止行為)

第三十八条の二 金融商品取引業者等は、その行う投資助言・代理業又は投資運用業に関して、次に掲げる行為をしてはならない。

一 投資顧問契約、投資一任契約若しくは第二条第八項第十二号イに掲げる契約の締結又は解約に関し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をする行為

二 (略)

ロ.契約締結前交付書面等の不保存等

(契約締結前の書面の交付)

第三十七条の三 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。(以下、略)

(契約締結時等の書面の交付)

第三十七条の四 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約が成立したときその他内閣府令で定めるときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、書面を作成し、これを顧客に交付しなければならない。(以下、略)

(業務に関する帳簿書類)

第四十七条 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。以下この款において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

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