平成24年3月23日
証券取引等監視委員会
アイティーエム証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会がアイティーエム証券株式会社(東京都中央区、資本金1,590百万円、役職員17名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、平成24年3月22日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
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2.事実関係
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○外国投資信託受益証券につき、基準価額等が虚偽であること又はその可能性を認識しながら、販売及び当該基準価額等の提供等を行っている行為
アイティーエム証券株式会社(以下「当社」という。)においては、遅くとも平成15年9月頃以降、当社が販売する外国投資信託受益証券について、当該外国投資信託の管理会社や当社を実質的に支配する投資運用業者から提供される基準価額等が実態とは異なり虚偽であること、又は虚偽である可能性が高いことを認識しながら、何ら有効な検証を行うことなくその販売を行い、また、顧客に対して虚偽の基準価額の提供及びこれに基づく運用収益等の報告を行っていた状況が認められた。
当社がこのような状況の下で行っていた上記外国投資信託受益証券の販売行為は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為であり、金融商品取引法第38条第1号に該当するものと認められる(平成19年9月29日以前の行為は、旧証券取引法第42条第1項第10号(平成17年3月31日以前の行為については同項第9号)に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令(昭和40年大蔵省令第60号)第4条第1号に該当)。
また、当社における上記の行為は、当社を実質的に支配する投資運用業者による悪質な虚偽の基準価額の算出について、これを実行あるいは維持し、更には長期間に亘ってその発覚を免れるに当たって、極めて重要な役割を果たすこととなり、また、当社の顧客の大宗を占める年金基金等の顧客に重大な被害を被らせることとなっていることに鑑みれば、金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いと認められる。
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(参考条文)
○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
二~七 (略)
○証券取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(禁止行為)
第四十二条 証券会社又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第五号及び第六号に掲げる行為にあつては、第三十四条第二項第一号の投資一任契約に係る業務として行うもの及び投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は証券業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一~九 (略)
十 前各号に掲げるもののほか、有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等(有価証券指数等先物取引又はこれに係る第二条第八項第二号若しくは第三号に掲げる行為をいう。以下同じ。)、有価証券オプション取引等(有価証券オプション取引又はこれに係る同項第二号若しくは第三号に掲げる行為をいう。以下同じ。)若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等に関する行為で投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は証券業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為
2 (略)
○証券会社の行為規制等に関する内閣府令(昭和40年大蔵省令第60号)(抄)
(禁止行為)
第四条 法第四十二条第一項第十号(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等(それぞれ法第四十二条第一項第十号に規定する有価証券指数等先物取引等又は有価証券オプション取引等をいう。以下同じ。)、有価証券店頭デリバティブ取引等(法第二条第八項第三号の二に規定する有価証券店頭デリバティブ取引等をいう。次号において同じ。)若しくは外国市場証券先物取引等に関し、虚偽の表示をし又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
二~十七 (略)