平成24年8月3日
証券取引等監視委員会
アイティーエム証券株式会社に係る勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、犯則事件の調査の結果、下記のとおりアイティーエム証券株式会社に係る法令違反等が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
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2.事実関係
○役職員による投資一任契約の締結に係る偽計への関与
アイティーエム証券株式会社(以下「当社」という。)は、当社を実質的に支配するAIJ投資顧問株式会社(以下「AIJ」という。)が実質的に運用する「AIMグローバルファンド」(以下「当ファンド」という。)の販売を行っていたものであるが、当社の代表取締役は、AIJの代表取締役及び同社の取締役と共謀の上、真実は、当ファンドの純資産額が過小となっていたにもかかわらず、その情を秘し、あたかも当ファンドの運用実績は好調であり一口当たり純資産額は順調に増加している旨の虚偽の運用実績等を記載した資料を年金基金の運用担当者等に提示するなどし、当該年金基金をしてAIJとの間で年金投資一任契約を締結させようと企て、平成22年9月ころから同23年9月ころまでの間、東京都港区内等において、5つの基金の担当者らに対し、当社の営業員を介し、前記虚偽の運用実績及び一口当たり純資産額を記載した資料を示すなどし、各基金をして、AIJとの間で年金投資一任契約を締結させ、もって投資一任契約の締結に関し、偽計を用いたもの(以下「本件偽計」という。)である。
上記の行為に関し、証券取引等監視委員会は、本年7月9日及び同月30日、当社代表取締役並びにAIJ、同社代表取締役及び同社取締役を、金融商品取引法第38条の2第1号(投資一任契約の締結に係る偽計)の嫌疑で東京地方検察庁検察官(以下、「東京地検検察官」という。)に告発した(これらの告発を受け、東京地検検察官は、同月9日及び同月30日、当社代表取締役並びにAIJ代表取締役及び同社取締役を起訴した。併せて、本件について、東京地検検察官は、上記5基金を含む6基金に対する詐欺(刑法第246条)の事実についても、同月9日及び同月30日、当社代表取締役並びにAIJ代表取締役及び同社取締役を起訴した。)。
上記のとおり、当社においては、その経営管理に責任を有する当社代表取締役自らが、各基金をして、AIJとの間で年金投資一任契約を締結させるため、当社が販売を行っていた当ファンドに関し、共犯者と共謀の上、多数の年金基金に対し、本件偽計を実行したものであり、その実行に当たっては、当社代表取締役自らが、虚偽の運用実績等を記載した資料を用いるなどして、年金基金に対する勧誘を行っていたほか、当社代表取締役の下で、当社の複数の営業員も、上記同様の資料を用いるなどして、年金基金に対する勧誘を行っていたものである。
そして、本件偽計により、多数の年金基金が当ファンドの購入を決定し、AIJとの間で年金投資一任契約を締結した結果、多額の損失を被ることとなった。
以上に鑑みれば、当社については、金融商品取引法第52条第1項第9号の「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当すると認められる。
(参考条文)
○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(禁止行為)
第三十八条の二 金融商品取引業者等は、その行う投資助言・代理業又は投資運用業に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
一 投資顧問契約、投資一任契約若しくは第二条第八項第十二号イに掲げる契約の締結又は解約に関し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をする行為
二 (略)
(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一~八 (略)
九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。
十~十一 (略)
2~5 (略)