平成24年10月12日

証券取引等監視委員会

サンハーベスト株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がサンハーベスト株式会社(東京都中央区、資本金40百万円、役職員15名、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○顧客に対し虚偽のことを告げる行為、自己の名義をもって他人に取得勧誘を行わせている状況及び著しく不当な行為を行っている状況

      サンハーベスト株式会社(以下「当社」という。)は、平成23年7月から検査基準日(同24年7月9日)現在までの間、自らを営業者とし、フィリピンの穀物事業に出資する計6本の集団投資スキーム(以下、総称して「本件ファンド」という。)の組成・運用及び販売・勧誘を行っている。

    • (1)本件ファンドの契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      今回検査において、本店事務所内にある営業員の机中より、セールストークが記載された勧誘メモ等が複数発見されたことから、その内容等を検証したところ、当社営業員は、本件ファンド持分の取得勧誘において、本件ファンドに係る匿名組合契約書によれば、配当及び元本は保証されないものとなっているにもかかわらず、「配当は毎月必ずもらえる。」、「元本は絶対保証している。」などと、顧客に対し、虚偽のことを告げていたものと認められる。

    • (2)自己の名義をもって、他人に本件ファンド持分の取得勧誘を行わせている状況

      当社は、遅くとも平成23年9月から検査基準日現在までの間、自己の名義をもって、株式会社新日本経済投資顧問所属の営業員に、本件ファンド持分の取得勧誘を継続して行わせていた。

    • (3)本件ファンドに関し、著しく不当な行為を行っている状況

      今回検査において当社における本件ファンドの運営状況等について検証したところ、以下の問題が認められた。

      • イファンド出資金の管理が極めて不適切な状況

        今回検査において本件ファンドに係る出資金の管理状況を検証したところ、当社は、匿名組合契約書上、組合財産の管理については、銀行等金融機関に専用の口座を開設し、当該口座への預金等により行い、営業者の帳簿等により各匿名組合員の出資履行金額が直ちに判別できるようにする旨を定めているにもかかわらず、本件ファンド事業を開始(平成23年7月)してから検査基準日現在までの間、本件ファンド名義の預金口座において出資金管理を全く行っておらず、本件ファンドに係るフィリピン所在の業務委託先(以下「A社」という。)に送金するまでの間、出資金の全てを当社の社内金庫にて保管していたとしており、その管理状況は極めて不透明なものと認められる。

        更に、当社は、A社への出資金の送金についても、当社代表取締役(以下「当社社長」という。)が、当社の社内金庫にて保管したファンド出資金の大半を、当社役職員以外の者に手渡し、現金を持参させる方法により行っているとしており、出資金の流れも極めて不透明なものと認められる。

        以上のとおり、当社における本件ファンド出資金の管理は、極めて不適切な状況にあるものと認められる。

      • ロ出資対象事業の運用状況に係るモニタリングが極めて不十分な状況

        当社は、A社へ委託した業務のモニタリングのため、当社従業員1名(以下「駐在員」という。)をフィリピンに派遣しているとしている。

        しかしながら、当社における現地の運用状況の把握については、駐在員より電話等による口頭報告を受けるのみであり、当社社長自身は、上記口頭報告以外の手段では、本件出資対象事業の具体的な運用状況を把握していないとしている。また、当社は、検査期間中、駐在員と連絡が取れない旨説明するなど、現地の状況を適時、適切に把握する態勢が整備されていない状況が認められたことから、当社においては、自らを匿名組合の営業者とする本件ファンドの具体的な運用状況の把握が全く行われていない状況にあるものと認められる。

        以上のとおり、当社においては、出資対象事業の運用状況に係るモニタリングが極めて不十分な状況にあるものと認められる。

      • ハ極めて不適切な配当金の処理状況

        当社は、当社役職員以外の者から指示された配当率に基づき、配当金算定の根拠となる具体的計算資料を確認することなく、配当の裏付けとなる出資対象事業先の資産や損益状況等を何ら把握しないまま、勧誘資料記載の利率とほぼ同率の配当を毎月継続している状況にあることから、当社の配当金の処理状況は、極めて不適切な状況にあるものと認められる。

      当社が行った上記(1)の行為は、金融商品取引法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

      また、当社が行った上記(2)の行為は、金融商品取引法第36条の3に違反するものと認められる。

      更に、当社の上記(3)の状況は、顧客から受け入れた出資金の管理が極めて不適切な状況にあるのみならず、当社社長が出資対象事業の具体的な運用状況を全く把握していない状況であり、加えて、顧客への配当金処理についても極めて不適切な状況であるなど、当社の業務運営は極めて杜撰な状況にあると認められる。更に、当社は、検査官からこうした指摘を受けたにもかかわらず、本件ファンド持分の取得勧誘を継続していたことなどから、かかる当社の状況は、金融商品取引法第52条第1項第9号(金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき)に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(名義貸しの禁止)

第三十六条の三 金融商品取引業者等は、自己の名義をもつて、他人に金融商品取引業(登録金融機関にあつては、登録金融機関業務。以下この款において同じ。)を行わせてはならない

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二~七 (略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一~八 (略)

九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき

(以下、略)

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