平成24年10月16日

証券取引等監視委員会

株式会社ナレッジキャピタルに対する検査結果について

  • 1.検査結果

    証券取引等監視委員会が株式会社ナレッジキャピタル(東京都中央区、資本金10百万円、役職員2名、適格機関投資家等特例業務届出者)を検査した結果、下記のとおり、法令違反の事実が認められたので、平成24年10月12日、証券取引等監視委員会は、上記会社に対して検査結果を通知するとともに、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。

  • 2.事実関係

    • ○金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      株式会社ナレッジキャピタル(以下「当社」という。)の代表取締役A(以下A社長という。)は、平成21年、知人から、ある年金基金が、未公開株に投資する投資事業有限責任組合を設立する予定であり、投資予定先及び投資予定額は既に決まっており、同年12月にも投資を実行する予定であるが、その組合に運営者として参加してほしい旨の要請を受けた。

      これに対し、A社長は、上記要請の内容からすれば、当社は、投資先の発掘、投資後の上場に向けての管理・指導等の業務を行わなくとも、組合設立のための形式的な事務処理(組合契約書の作成等)さえ行えば報酬が得られると考え、上記要請を承諾することとした。

      その後、A社長は、「ファンドの設立を予定している年金基金が、B厚生年金基金(以下「B基金」という。)であり、B基金の事務担当者であるC事務長(当時)が投資予定先及び投資予定額を既に承諾している」ことを聞いた。

      A社長は、投資予定先及び投資予定額が既に決まっているものの、B基金が組織として意思決定する際に使用するための資料として、「丙号投資事業有限責任組合(以下「丙号組合」という。)のご提案」と題する資料(以下「提案資料」という。)を作成した。

      A社長は、提案資料に、i)丙号組合の運営者となる当社の業務内容として、当社が実施する予定のない業務(当社が、未公開企業について、投資対象先としての適格性に関する予備調査、公開戦略の企画立案等を行うことなど)や、ii)当社の上場実績として、当社の設立以前に上場した銘柄等、当社が関与していない6銘柄を記載した。

      A社長は、平成21年12月、B基金を訪問し、B基金が組織として意思決定する際に使用することを前提に、C事務長に提案資料を交付した。

      以上の他、当社は、丙号組合に係る投資事業有限責任組合契約書に、当社が実施する予定のない業務内容(投資先事業者に対する経営又は技術の指導等)を行う旨を記載した。

      当社が行った上記行為は、金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為に該当し、金融商品取引法第63条第4項に基づき当社を金融商品取引業者とみなして適用する同法第38条第1号に該当すると認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条 (略)

2・3 (略)

4 特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第三十九条並びにこれらの規定に係る第八章の規定を適用する。

(以下、略)

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