平成24年12月7日

証券取引等監視委員会

ビバーチェ・キャピタル・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会がビバーチェ・キャピタル・マネジメント株式会社(東京都渋谷区、資本金2億7,000万円、役職員9名、投資運用業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    ビバーチェ・キャピタル・マネジメント株式会社(以下「当社」という。)が投資一任契約の締結を勧誘するに際して使用している3種類の運用商品(「カバード・コール戦略」、「ターゲット・バイ戦略」及び「オプション・アルファ戦略」の3種類の戦略で運用するもの。)の顧客勧誘資料を検証したところ、以下のとおり、不適切な記載が認められた。

  • (1)異なる運用商品の運用実績値を表示する行為等

    当社は、平成23年4月及び6月に配付したオプション・アルファ戦略に係る顧客勧誘資料において、既存顧客のオプション・アルファ戦略に係る運用実績として、同21年8月から配付日直前までの月次の運用実績値(以下「実績値」という。)を記載している。

    しかしながら、当社は、当該既存顧客の運用方針が途中で大きく変更したことから、その実績値をそのまま使用した場合、オプション・アルファ戦略の標準的な実績値としては不適切であると考え、オプション・アルファ戦略において標準的と考えられる運用実績を示すべく、平成22年4月から同年9月までの実績値については、オプション・アルファ戦略ではない他の運用商品(カバード・コール戦略及びターゲット・バイ戦略)にて運用を行っている既存顧客の実績値を使用し、かつ、当該実績値を加工して表示していた。

    また、当社は、同様の理由から、平成23年3月から同年5月までの実績値については、オプション・アルファ戦略に係る既存顧客の実績値を使用しているが、当該実績値についても、実績値そのままではなく、加工して表示していた。

    なお、当社は、当該勧誘資料に、これらの実績値を加工して表示していたことについての注記をしていないが、加工して記載した数値は、本来記載すべきだった数値と比較してプラスに表示されているものもあればマイナスに表示されているものもあった。

  • (2)勝率等の数値に係る不適切な記載

    当社は、平成24年2月に配付したターゲット・バイ戦略に係る顧客勧誘資料において、検証期間を同17年4月から同24年1月とし、検証期間における当該運用商品の収益率を月次で並べた表を記載し、当該表を基に算出した検証期間全体の勝率、累積リターン、年率リターン等を表示しており、このうち、同22年1月以降の収益率については実績値を記載した旨注記している。

    しかしながら、当社は、当該勧誘資料において、検証期間のうち残りの平成17年4月から同21年12月までの数値については、実績値ではなく、情報サービス会社のデータを基に独自の計算方法により算出したシミュレーションに基づく数値(以下「バックテスト結果」という。)を記載しているにもかかわらず、その旨を注記では明示していない。

    また、当社は、当該勧誘資料において、勝率、累積リターン、年率リターン等の数値について、バックテスト結果を記載した期間も通算して算出した数値を表示しているため、当該勧誘資料における各数値は、実績値から大きく乖離したものとなっているが、バックテスト結果を記載した期間も通算して算出している旨の注記をしていない。

    なお、バックテスト結果を表示した数値は実績値と比較してプラスに表示されているものもあればマイナスに表示されているものもあった。

    当社は、顧客勧誘資料の記載内容の適切性等について検証する内部管理態勢を構築せずに、このような顧客勧誘資料を、他の運用商品も含めた3種類の運用商品において、少なくとも47の年金基金に対して配付している。

  • (3)複数の既存顧客の実績値を混在させた不適切な記載

    当社は、平成24年2月に配付したカバード・コール戦略に係る顧客勧誘資料において、カバード・コール戦略の既存顧客の実績値として月次の収益率を記載している。

    しかしながら、当社は、当該既存顧客の運用方針が途中で大きく変更したことから、当該既存顧客の実績値をそのまま使用した場合、カバード・コール戦略の標準的な実績値としては不適切であると考え、カバード・コール戦略において標準的と考えられる運用実績を示すべく、当該実績値について、同一の既存顧客の実績値を記載せず、複数の既存顧客の実績値を混在させて記載している。

    なお、当社は、顧客勧誘資料の記載内容の適切性等について検証する内部管理態勢を構築せずに、このような顧客勧誘資料を少なくとも24の年金基金に対して配付している。

    当社の行った上記(1)の行為は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して虚偽の表示をする行為に該当し、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第7号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「業府令」という。)第117条第1項第2号に該当するものと認められる。

    また、上記(2)及び(3)の行為は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為に該当し、金商法第38条第7号の規定に基づく業府令第117条第1項第2号に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

  • 第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。

    一から六 (略)

    • 七前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)

  • 第百十七条 法第三十八条第七号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

    一 (略)

    • 二金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

      (以下、略)

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