平成24年12月7日

証券取引等監視委員会

新生インベストメント・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が新生インベストメント・マネジメント株式会社(東京都中央区、資本金4億9,500万円、役職員26名、投資運用業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

  • 〇投資一任業務に係る善管注意義務違反について

    新生インベストメント・マネジメント株式会社(以下「当社」という。)の投資一任業務における投資決定のための必要な調査等(以下「デューディリジェンス」という。)の態勢を検証したところ、市場性があり、価格情報が容易に入手できる投資対象資産に係る買付価格の決定に関し、以下のとおり、十分な調査等を行っていない状況が認められた。

    • (1)企業年金基金等との投資一任契約の締結に係る経緯

      当社は、企業年金基金等からの依頼に応じ、投資一任契約を締結し、証券会社から優先出資証券等を買付けている。

      しかし、当該買付けに当たっては、投資一任契約の締結以前から、企業年金基金等と証券会社との間で、投資対象の優先出資証券等及びその買付価格について交渉しているなどとして、当社は価格交渉に十分に関与していないほか、価格の妥当性の検証を行っていないまま、証券会社からその価格を提示されている。

    • (2)A優先出資証券の買付価格について十分な調査等を行っていない状況

      当社は、平成22年6月16日及び同年7月2日、A優先出資証券について、同じ証券会社から、甲株式会社及び乙企業年金基金(以下「両社」という。)に示された価格の提示を受け、それぞれ同年6月30日及び同年6月17日に締結した両社との投資一任契約に基づいて、同年6月30日及び同年7月13日に当該優先出資証券の買付けを行っている。

      当社は、当該優先出資証券への投資に当たって、助言業者からのレポートを基にデューディリジェンスを行っているものの、投資政策委員会において買付価格の妥当性についての議論を行わないまま、両社が証券会社から提示されていた価格で投資決定している。

      このため、両社との投資一任契約に基づく買付けについて、同じ証券会社からの受渡日が同一のほぼ同時期の買付けであるにもかかわらず、その買付価格には乖離が生じているが、当社は、その乖離について説明がつかない状況のまま、証券会社から提示された価格で買付けを行っている。

      当社においては、上記の状況に関して、両取引の価格に乖離が生じている要因について、証券会社に確認を行うなどの検証を行っておらず、他の証券会社に価格を確認するなど、より良い価格で執行できるか等の確認も行っていない。

    • (3)B優先出資証券を担保資産とするリパッケージ債の買付価格について十分な調査等を行っていない状況

      当社は、平成23年9月5日、リパッケージ債の利回り等について、証券会社から、丙企業年金基金に示された条件の提示を受け、同年10月25日に丙企業年金基金と締結した投資一任契約に基づき、同日に当該リパッケージ債の買付けを行っている。

      しかしながら、当社は、証券会社から提示された当該リパッケージ債の利回り等の条件が、担保資産の価格等に照らして妥当なものか否かについて検証を行っていない。

      また、顧客から利回りの改善要求を受け、一度は証券会社と交渉して利回りを改善させているが、当社は、その後も担保資産の価格が下落している状況を把握しているにもかかわらず、顧客の要求は満たしたとして、証券会社の提示する価格を受けるにとどまり、証券会社に対して更なる利回り改善の余地について、十分な確認を行っていない。

      さらに、当社は、最終買付決議を行うにあたり、当該リパッケージ債について、上記助言業者からのレポートを基にデューディリジェンスを行い、投資政策委員会においても議論が行われているものの、買付価格の妥当性についての説明・議論は行われておらず、当該助言業者のレポートにおける利回りと実際に組成されたリパッケージ債の利回りには乖離が認められるにもかかわらず、これに係る議論は行わないまま買付けを決議している。

    • (4)その他の投資対象資産の買付価格について十分な調査等を行っていない状況

      当社は、上記(2)及び(3)以外にも、市場性があり、取扱証券会社間で価格が異なり得る投資対象資産への投資を行っているが、これらについても、価格交渉に関与しておらず、投資政策委員会においても買付価格の妥当性についての議論を行わないまま投資決定し、証券会社の提示する価格のまま取引を執行している。

      上記(2)から(4)における当社の状況は、金融商品取引法第42条第2項に定める、善良なる管理者の注意義務に違反するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(権利者に対する義務)

第四十二条 (略)

  • 2金融商品取引業者等は、権利者に対し、善良な管理者の注意をもつて投資運用業を行わなければならない。

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