平成24年12月13日

証券取引等監視委員会

ヤフー株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、ヤフー株式に係る相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    タイガー・アジア・パートナーズ・エルエルシー(以下「タイガー・アジア」という。)は、米国籍のヘッジファンド(以下「米国籍ファンド」という。)に出資するとともに、同ファンドに出資された資産の運用権限を有する米国デラウェア州法に基づく法人である。タイガー・アジアは、その業務執行社員らにおいて、ヤフー株式会社の株式につき、平成21年3月17日午後零時30分頃から午後3時頃までの間、同株式の売買を誘引する目的をもって、直前約定値段より高値の上限価格を提示した買付けの計らい注文を複数の証券会社に分散して発注する方法により、同株式の株価を2万4310円から2万5340円まで引き上げるなどし、米国籍ファンドを含む外国籍の2つのヘッジファンド名義で合計3万2960株の買付け等を行い、そのうち、タイガー・アジアの計算において、米国籍ファンド名義での1万4172株の買付け等によって、その出資割合である4.82パーセント相当を取引するなどし、もって、同株式の相場を変動させるべき一連の売買等をしたものである。

    タイガー・アジアが行った上記の行為は、金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」の違反行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、6571万円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)より支援がなされている。また、証券取引等監視委員会の調査において、タイガー・アジアより協力がなされている。


(別紙)

  • 課徴金の額の計算方法について

  • 1.金融商品取引法第174条の2第1項の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、

    • (1)売買対当数量(注1)に係るものについて、

      (自己の計算による有価証券の売付け等の価額)-(自己の計算による有価証券の買付け等の価額)

    • (2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が買付け等の数量を超える場合は、

      (当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額)-(当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券の最低価格×当該超える数量)

      または、

      当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が売付け等の数量を超える場合は、

      (当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券の最高価格×当該超える数量)-(当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額)

      との合計額として計算される。

      • (注1)売買対当数量:当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量と買付け等の数量のうち、いずれか少ない数量をいう。

      本件は、タイガー・アジアが米国籍ファンド名義で行った取引のうち、タイガー・アジアの米国籍ファンドへの出資割合である4.82パーセントについて、タイガー・アジアが自己の計算で買付け等を行ったものと評価して、課徴金を算出するものである。

    • (1)売買対当数量に係る金額について

      当該違反行為に係る売買対当数量は、

      • (i)自己の計算による有価証券の売付け等の数量が0であり、

      • (ii)自己の計算による有価証券の買付け等の数量が15,895.0586株(注2)である

      ことから、0株となる。よって、売買対当数量に係る金額は0円である。

      • (注2)実際の買付け等の数量14,172株(米国籍ファンド名義による。)にタイガー・アジアの米国籍ファンドに対する出資割合4.82パーセントを乗じて得られる683.0904株に、金融商品取引法第174条の2第8項並びに金融商品取引法施行令第33条の13第1号及び第2号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(24,310円)で有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる違反行為の開始時に所有又は約定している当該有価証券の買付け等の数量315,601株(米国籍ファンド名義による。)に同じく4.82パーセントを乗じて得られる15,211.9682株を加えたもの。

    • (2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量を超える場合の、当該超える数量に係る金額について

      上記(1)のとおり,当該違反行為に係る有価証券の買付け等の数量が、売付け等の数量を超えることから、

      当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が売付け等の数量を超える場合の、当該超える数量に係る金額は、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金融商品取引法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格(28,470円)に当該超える数量15,895.0586株を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額(注3)を控除した額となる。

      (28,470円×15,895.0586株)-386,819,618.742844円

      =65,712,699.599156円

      • (注3)上記「当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額」は、

        違反行為期間中の買付け等に係る金額

        「実際の買付け分(24,390円×339株,24,400円×339株,24,410円×46株,24,420円×20株,24,500円×246株,24,550円×604株,24,570円×231株,24,580円×102株,24,590円×63株,24,650円×11株,24,660円×11株,24,680円×26株,24,690円×84株,24,700円×78株,24,710円×80株,24,720円×116株,24,730円×282株,24,740円×70株,24,750円×585株,24,760円×930株,24,770円×528株,24,780円×425株,24,790円×387株,24,800円×871株,24,810円×407株,24,820円×531株,24,830円×362株,24,840円×1,090株,24,850円×626株,24,860円×732株,24,870円×225株,24,880円×502株,24,890円×32株,24,900円×308株,24,910円×54株,24,920円×292株,24,930円×384株,24,940円×211株,24,950円×186株,24,960円×162株,24,970円×1,664株,24,980円×1,053株,24,990円×1,604株,25,000円×2,556株,25,040円×5株,25,050円×41株,25,060円×21株,25,070円×212株,25,080円×21株,25,100円×15株,25,110円×65株,25,120円×144株,25,130円×4株,25,140円×46株,25,150円×169株,25,160円×261株,25,170円×151株,25,180円×163株,25,190円×259株,25,200円×261株,25,210円×1株,25,220円×440株,25,230円×134株,25,240円×1株,25,290円×73株,25,300円×394株)及びエクイティ・スワップ取引分(24,948.50円×10,624株)」の合計額のうち,米国籍ファンドの名義で行われた取引分(43%)に,タイガー・アジアの米国籍ファンドに対する出資割合4.82パーセントを乗じた額

        及び

        違反行為の開始時に所有又は約定している有価証券の買付け等に係る金額

        「実際の所有分(24,310円×70,442株)+エクイティ・スワップ取引分(24,310円×245,159株)」にタイガー・アジアの米国籍ファンドに対する出資割合4.82パーセントを乗じた額

        の合計額である。

  • 2.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記1.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

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