平成24年12月21日

証券取引等監視委員会

Forex&Mineral Trading株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    東海財務局長がForex&Mineral Trading株式会社(愛知県名古屋市、資本金210百万円、役職員12名、投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業、適格機関投資家等特例業務届出者)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)集団投資スキーム持分の取得勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      Forex&Mineral Trading株式会社(以下「当社」という。)は、平成24年1月以降、石油採掘事業を行う企業への投資等を運用対象とする「世界エネルギーファンド」の取得勧誘に当たり、顧客に対して、当社のホームページに掲載された当社名のロゴが貼付された石油タンクと称する画像や石油採掘現場の動画等を見せ、当社が石油タンクを所有しており、世界エネルギーファンドの投資先である米国法人Aは石油採掘権を所有し、すでに石油採掘事業を開始しているとの説明等を行っている。

      しかしながら、実際には、当社が石油タンクを所有した事実や、米国法人Aが石油採掘権を所有し、石油採掘事業を行っている事実は認められなかった。

      米国法人Aは、石油採掘事業を行うとしている米国法人Bに投資していたとしているが、米国法人Bにおいても、石油採掘事業を行っていた事実は確認できていない。

      また、当社は、平成24年7月上旬に、世界エネルギーファンドの出資金の大半が喪失したことを認識したにもかかわらず、その後も同ファンドの募集を続けていた。

      なお、当社においては、世界エネルギーファンドの募集開始から検査基準日現在(平成24年10月5日)まで、米国法人Aが同ファンドの出資金をどのように管理しているのかについて、当社取締役会長(以下「当社会長」という。)から簡易な説明を受ける以外、米国法人Aに対して支出明細や運用状況の記録を求めるなどの措置を講じておらず、同ファンドの資産状況を把握できていない。

    • (2)権利者から出資を受けた金銭を流用する行為

      • ア.権利者から出資を受けた金銭を当社会長個人の事業費用等に流用する行為

        当社は、平成24年7月、外国為替証拠金取引による運用を行っていた「FXファンド 金の鯱2」(以下「FXファンド」という。)について、権利者から出資を受けた金銭(以下「FXファンド資金」という。)のうち、11,700,000円を出金し、当社会長個人の事業費用等に流用していた。

        当社代表取締役(以下「当社代表」という。)は、当社会長からFXファンド資金を流用することについて指示を受け、問題意識を持ったものの、FXファンド資金を流用することに同意し、実行したものである。

      • イ.権利者から出資を受けた金銭を当社の経費に流用する行為

        当社は、平成24年8月及び9月、FXファンドについて、FXファンド資金のうち、合計1,500,000円を出金し、当社の給与等の経費の支払いに流用していた。

        当社代表は、当社専務取締役からFXファンド資金を流用することについて提案を受け、問題意識を持ったものの、FXファンド資金を流用することに同意し、実行したものである。

    • (3)純財産額が公益又は投資者保護のため必要かつ適当な金額を満たさない状況

      当社の検査基準日現在の純財産額は、当社会長による架空増資や借入金を資本金に計上するという不適切な会計処理等を修正したところ、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第29条の4第1項第5号ロの規定に基づく同法施行令第15条の9第1項に定める金額(5千万円、以下「法定の純財産額」という。)に満たない状況となっている。なお、当社が査定した検査基準日現在における純財産額においても法定の純財産額に満たない状況であった。

    当社の上記2.(1)の行為は、金商法第38条第1号に掲げる金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対して虚偽のことを告げる行為に該当するものと認められる。

    当社の上記2.(2)の行為は、金商法第42条第1項に定める権利者に対する忠実義務に違反するものと認められる。

    また、上記2.(3)の当社の純財産額が法定の基準に満たない状況は、金商法第52条第1項第3号(同法第29条の4第1項第5号ロに該当することとなったとき)に該当するものと認められる。


(参考条文)

  • 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

    (登録の拒否)

  • 第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

    一~四 (略)

    • 五 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合にあつては、次のいずれかに該当する者

      ロ 純財産額(内閣府令で定めるところにより、資産の合計金額から負債の合計金額を控除して算出した額をいう。)が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者

      六 (略)

  • 2~5 (略)

  • (禁止行為)

  • 第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

    一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

    二~七 (略)

  • (権利者に対する義務)

  • 第四十二条 金融商品取引業者等は、権利者(次の各号に掲げる業務の区分に応じ当該各号に定める者をいう。以下この款において同じ。)のため忠実に投資運用業を行わなければならない。

    一~三 (略)

    2 (略)

  • (金融商品取引業者に対する監督上の処分)

  • 第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

  • 一・二 (略)

  • 三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が、第二十九条の四第一項第五号イ又はロに該当することとなつたとき。

  • 四~十一 (略)

  • 2~5 (略)

  • 金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)(抄)

  • (金融商品取引業者の最低資本金の額等)

  • 第十五条の七 法第二十九条の四第一項第四号(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

  • 一・二 (略)

  • 三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合(前二号に掲げる場合を除く。) 五千万円

  • 四 (略)

  • 2 (略)

  • (金融商品取引業者の最低純財産額)

  • 第十五条の九 法第二十九条の四第一項第五号ロ(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、第十五条の七第一項各号(第四号を除く。)に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

  • 2 (略)

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