平成25年3月1日

証券取引等監視委員会

MJホールディングス株式会社に対する調査結果及びワイズキャピタル合同会社等に対する検査結果について

  • I.調査及び検査結果

    証券取引等監視委員会がMJホールディングス株式会社(東京都港区、資本金5900万円。金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)を調査するとともに、いずれも適格機関投資家等特例業務届出者であるワイズキャピタル合同会社(以下「ワイズ社」という。)等、下記ア記載の7合同会社(以下、下記ア記載の7合同会社を併せて「ワイズ社ら」という。)を検査した結果、以下の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。

  • II.事実関係

    • 1.当社の代表取締役 A(以下「A社長」という。)は、自らの知人をワイズ社らの代表社員の職務執行者に就任させるとともに、ワイズ社らが営業者となっている匿名組合契約に基づく権利の取得勧誘及び出資金の管理・運用等の業務(以下「匿名組合業務」という。)を当社が行うことを引き受けた。

    • 2.そして、当社は、ワイズ社らが営業者となっている匿名組合契約に基づく権利について、実質的に当社の支店の役割を有し、当社内で「営業所」と呼称する多数の法人等(以下「営業所」という。)の従業員らに指示して、下記イ記載の各匿名組合の概要を説明させるなどして、個人投資家への電話や面接による取得勧誘を行わせた。

      当社は、営業所に対し、各匿名組合に関するパンフレット等の勧誘資料を作成して提供するだけでなく、各匿名組合の営業者の名称が記載された名刺を作成・配付し、勧誘時に使用するよう指示したり、顧客から出資金を受領する際、営業所従業員が顧客から直接現金で受け取り、営業所名義口座に一旦入金した上で、当社が指定した口座に送金するよう指示したりしており、この結果、顧客からの出資金は、各匿名組合の営業者ではなく当社が管理・運用していた。

    • 3.以上の結果、平成23年4月ころから平成24年11月ころまでの間に、延べ1727名の個人投資家が約28億9600万円を出資した。

    • 4.当社は、当社が顧客から受け入れた出資金を適切に管理せず、各匿名組合の出資金を混同して管理・運用し、各匿名組合の出資金がどの投資先に投資され、どの経費に充当されていたかを正確に把握できない状態にあった。

      そのような状態の中、当社は、平成23年4月から平成24年11月ころまでの期間を通じ、各匿名組合に新たに出資された出資金を、既存顧客への配当、既存顧客の解約返戻金の支払及び当社の経費の支払に使用していた。また、当社は、出資金の35パーセントないし50パーセントに相当する金額を営業所に対する報酬として支払っていた。

      以上の結果、当社は、受け入れた上記3の出資金のうち約2割ないし約3割程度を、各匿名組合の目的である特定の投資対象に関連する事業(コンテナ事業、飲食店経営又はエステティック関連事業)を行う会社に対する貸付に使用していたにすぎない状態であった。

    • 5.上記4に関し、当社が取得勧誘を行っていた匿名組合は、匿名組合運用金(事業年度期首における総出資金額からその3パーセントに相当する管理報酬を控除した残額)の8割以上又は匿名組合出資金の概ね8割以上を当初特定の投資対象に振り分ける旨規約書に明記されているものが大部分を占めていた。そして、A社長も、規約書上、このような定めがある匿名組合については、顧客から受け入れた出資金を、各匿名組合の目的である特定の投資対象に、当該出資金から管理報酬を除いた金額の8割以上をまず投資しなければならないと認識していた。

      また、そもそも、A社長は、上記4の支払を行って匿名組合業務を維持していくにあたって、新規の顧客から受け入れた出資金を充当することになるが、匿名組合で受け入れた出資金は、当該匿名組合の目的である投資に用いるものであるため、管理報酬を除いた出資金残額は、本来投資やこれに関連する費用に用いなければならないにもかかわらず、投資やこれに関連する費用に関係のない当社の経費に費消しているとの認識をもっていた。

    • 6.当社が行った行為のうち、ワイズ社らが営業者となっている匿名組合契約に基づく権利の取得勧誘行為は、いずれも、金融商品取引法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、当社が第二種金融商品取引業の登録を受けずに金融商品取引業(有価証券の私募の取扱いを業として行うこと)に従事していたことは、同法第29条に違反している。また、当社は、出資金を、匿名組合規約書に明記された投資対象先への投資と全く異なる使途に用いたり、匿名組合の目的である投資やこれに関連する費用と関係のない当社の経費に用いて流用しており、こうした行為は投資者保護上問題があるものと認められる。

    • 7.ホライズンパートナー合同会社、アスライト合同会社、ドリームエックス合同会社及び合同会社フランチャイズ基金については、無登録業者である当社が私募の取扱い及び出資金の管理・運用を行うにもかかわらず、A社長の意向に沿った業務運営さえすればよいとの認識から、出資金の管理・運用の実態を把握しておらず、ワイズ社、MJインベストメント合同会社及びMAIDO投資事業組合合同会社については、これらの代表社員の職務執行者が、匿名組合の経理処理を担当しながら、A社長の意向に沿った業務運営さえすればよいとの認識から、当社が行う出資金の流用を黙認することで、その役割の一端を担っていたと認められることから、投資者保護上問題がある行為と認められる。

  • ア検査実施先合同会社

    • ○ワイズキャピタル合同会社(東京都港区、代表社員 MDS株式会社、資本金10万円)

    • ○MAIDO投資事業組合合同会社(東京都港区、代表社員 MDS株式会社、資本金20万円)

    • ○ホライズンパートナー合同会社(東京都港区、代表社員 ホライズンパートナー株式会社、資本金5万円)

    • ○MJインベストメント合同会社(東京都港区、代表社員 ホライズンパートナー株式会社、資本金5万円)

    • ○アスライト合同会社(東京都中央区、代表社員 株式会社アップアドバンス、資本金5万円)

    • ○ドリームエックス合同会社(東京都中央区、代表社員 MDS株式会社、資本金5万円)

    • ○合同会社フランチャイズ基金(東京都港区、代表社員 株式会社アクティブグリーン、資本金5万円)

  • イ各匿名組合の概要

    • ○営業者が収納用コンテナを取得し、レンタルスペース事業を営む事業者にレンタルする事業を行うことを主たる目的とする匿名組合

    • ○営業者が飲食店等のフランチャイズチェーンの店舗を取得し、フランチャイズオーナーにレンタルする事業を行うことを主たる目的とする匿名組合

    • ○営業者がエステ関連事業で使用する設備機器を取得し、エステ関連事業を運営する事業者にレンタルする事業を行うことを主たる目的とする匿名組合

    • ○営業者が当社又はそのグループ会社が発行する株式及び社債等に投資することを主たる目的とする匿名組合

以上

PDF参考資料(PDF:129KB)


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(定義)

第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。

一~二十一 (略)

2 (前略)、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。

一~四 (略)

五 民法(中略)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(略)第五百三十五条に規定する匿名組合契約(中略)に基づく権利、(中略)その他の権利(中略)のうち、当該権利を有する者(中略)が出資又は拠出をした金銭(中略)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(略)

イ~ニ (略)

六・七 (略)

七 (略)

3~7 (略)

8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(中略)のいずれかを業として行うことをいう。

一~八 (略)

九 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い

十~十八 (略)

9~39 (略)

第二十八条 (略)

一~五 (略)

2 この章において「第二種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。

一 (略)

二 第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利についての同条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為

三・四 (略)

3~8 (略)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

一 適格機関投資家等(中略)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(略)

イ~ハ (略)

二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(中略)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(中略)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為

2~8 (略)

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