平成25年3月22日

証券取引等監視委員会

F-SEED株式会社及びその使用人1名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて

  • 1.申立ての内容等

    東海財務局長が、F-SEED株式会社(名古屋市中区、資本金500万円、役職員14名、適格機関投資家等特例業務届出者。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項の規定に基づき、名古屋地方裁判所に対し、当社及び当社使用人であるA(当社の100%株主であり、前代表取締役でもある。以下Aといい、当社と併せて「当社ら」という。)を被申立人として金商法違反行為(金商法第63条第1項第1号に掲げる私募に係る業務を行うに当たり、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為を行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。

  • 2.事実関係

    当社は、当社が組成する匿名組合の運営業務を統括管理するAの指示の下、平成22年11月ころから平成25年3月ころまでの間、多数の投資家に対し、当社が組成する匿名組合の契約締結を勧誘しているが、当該勧誘の際に顧客に交付したパンフレット、契約書等(以下「パンフレット等」という。)により顧客に告知した営業者報酬及び分配金の支払いに関する表示は、以下のとおり、事実と著しく相違するものであった。

    • (1)当社らは、平成23年3月ころ以降、出資金を充てて行う投資による収入の有無に関係なく、架空の収入を計上し、当該架空の収入の8割を営業者報酬として出資金から収受して自己の経費等に費消する意図を有し、実際にこれに沿った取扱いを行っていた。しかしながら、当社は上記意図や取扱いを顧客には秘匿して、収入が生じない限り営業者報酬を収受することは無い旨を表示したパンフレット等により勧誘を行っていた。

    • (2)当社らは、平成23年5月ころ以降、営業者報酬を収受するために計上していた架空の収入の2割に相当する金額を分配金とし、出資金を原資として顧客に分配する意図を有し、実際にこれに沿った取扱いを行っていた。しかしながら、当社は上記意図や取扱いを顧客には秘匿して、収入が生じない限り分配金の支払いを行わないこと及び出資金を原資とした分配を行わない旨を表示したパンフレット等により勧誘を行っていた。

    上記行為は、金商法第63条第4項の規定に基づき適格機関投資家等特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして適用される同法第38条第1号に規定する「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当すると認められる。

    当社らは、上記虚偽告知ばかりでなく、運用方法に関しても虚偽告知を伴う勧誘を行っていたなど、法令遵守意識が欠如している。また、上記(1)(2)のとおり、架空の営業収入に基づく営業者報酬の収受や分配金の支払いによって出資金を毀損させている。更に、当社は、出資金を受け入れる以外に新たな資金調達の方法がないため、匿名組合の運営業務を継続するには今後も新たな出資金を受け入れ続けなければならない状況にあり、現に、従業員の募集を行ったり、直近においても勧誘を行ったりしている。

    以上からすれば、当社らは、上記違反行為を今後も行う蓋然性が高く、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。


金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立て

(参考条文)

適格機関投資家等特例業務届出者に係る行為規制

金融商品取引法(抄)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二~七 (略)

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条 (略)

2・3 (略)

特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第三十九条並びにこれらの規定に係る第八章の規定を適用する。

5~8 (略)

緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法(抄)

(審問等に関する調査のための処分)

第百八十七条内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。

一関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。

二鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。

三関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。

四関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

(裁判所の禁止又は停止命令)

第百九十二条裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

前二項の事件は、被申立人の住所地又は第一項に規定する行為が行われ、若しくは行われようとする地の地方裁判所の管轄とする。

第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。

第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~七 (略)

八第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者

第二百七条 法人(中略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一・二 (略)

第百九十八条(中略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑

四~六 (略)

2・3 (略)

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